米アップルの神話が崩れた? 昨年9月に発売した主力のスマートフォン(高機能携帯電話)iPhone5(以下“5”)の販売が伸び悩み、部品調達先に1月からの大幅減産を通告したことが、1月半ばに明らかになった。主要部品の約4割は日本製とされ、液晶パネル、電子部品などを納入している日本勢に激震が走った。さながらアップルのクシャミで日本企業が風邪を引く「アップル・ショック」である。

減産通告は、その規模からいって調達先の業績を揺るがすに十分な水準だ。とりわけ、液晶パネルを納入しているジャパンディスプレイ、シャープにとっては大打撃は避けられない。“5”への液晶パネルの供給は、両者に韓国のLGディスプレーを加えた3社で担っている。1~3月期は部品ベースで当初計画(推定)の約6500万台分を半減する通告があったもようだ。“5”発売直後の昨年10~12月期にフル稼働だった状態からは雲泥の差で、稼働率維持のために“5”向け以外の手当てに追い立てられている。

液晶パネル以外にも日本勢は村田製作所やTDK、セイコーエプソンなどが電子部品を“5”向けに納入し、アップル依存度を高めており、“5”の失速が業績に大きな痛手となるのは避けられない。

アップルは、日本の取引企業にとってはまさに「救世主」的な存在だった。世界市場から孤立した「ガラパゴス化」と揶揄され、国内市場にしがみつくよりなかった日本の携帯電話機器メーカーはジリ貧で、部品メーカーもその影響を被ってきた。代わって発注元に上がったのがアップルだった。同社はスマホの世界市場で真っ向勝負する韓国サムスン電子から部品供給を受けており、特許紛争もあって同社とは距離を置かざるを得ず、日本勢へのシフトが強まった。

典型はジャパンディスプレイで、事業統合前の東芝が計画した能美工場(石川県)の新設に際しては、アップルが投資額のほとんどを負担して立ち上げ、“5”向けの液晶パネル専用工場に位置付けた。まさに、同社とは実質的に運命共同体の関係にあった。経営再建が正念場のシャープにしても、亀山第一工場(三重県)を“5”向けの専用の液晶パネル工場に据えてきただけに、今回の減産通告で再建への新たな火種を抱え込みかねない。神通力が衰えるアップル頼みの事業構造に、日本勢は再考を迫られている。