日経平均株価に潜む2つの「インチキ」

2月22日、日経平均株価(日経225)は1989年の大納会(12月29日)で記録した史上最高値、3万8915円を約34年ぶりに更新した。その後も日経平均株価は上昇を続け、3月4日には4万円の大台に初めて乗った。

「日経225が4万円超え」という日本語のニュース見出し
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日本株高を受けて、新聞などでは「“失われた30年”が終わった」という論調が目立つ。しかし、安堵するのは間違いだ。最高値更新は見せかけであり、日本をむしばむ根本的な問題を解決しない限り、失われた時代は今後も続く。

まず、日経平均株価は物差しがインチキだ。日経平均株価は、東証プライム市場に上場する約1650銘柄の株価や時価総額の平均ではなく、日本経済新聞社が選んだ225銘柄の株価合計を銘柄数で除したものだ。構成銘柄は東京エレクトロンなどの株価の高い「値がさ株」に次々に入れ替えられ、その影響が強く出る計算方式である。

バブル期と現在の株価を正確に比較するなら、本来はずっと同じ銘柄で比べなくてはいけない。しかし、91年からは倒産や合併以外の理由でも構成銘柄を入れ替え始め、2000年以降は入れ替えを毎年定期的に行っている。構成銘柄の中身が入れ替わっていれば、もはや物差しとしては役に立たない。業績好調の銘柄ばかりを新規に採用するのだから、日経平均株価は上がって当然だ。何ら喜ぶようなことではない。

史上最高値更新には、もう一つインチキがある。34年前につけた、3万8915円そのものがインチキなのだ。