高齢化が進み、独り暮らしの高齢者が増えている。フリーライターの中山美里さんは、70~80代の男性と一緒に時間を過ごす「ジジ活」をする女性たちを取材した。著書『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社新書)より、一部を紹介する――。(第2回/全2回)
薄暗い部屋で窓の外を見る人のイメージ
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パパ活ならぬ「ジジ活」をする51歳女性

トミコさん(51歳)は、介護福祉士の資格を持ち、実際に訪問介護の仕事をする一方で「ジジ活」もする女性だ。相手は75歳の独り暮らしの男性だ。

「年齢とともに注意力も筋力も落ちてくるし、単純な身体能力も落ちてきます。ちょっとしたところで転んでしまったり、よろけた時に自分の体を支えることができずに、倒れ込んでしまったりします。だから、一緒にいる時はいつでも対応できるように、さっと手を伸ばせば体を支えらえるくらいの距離感を保つようにしています」

また、一緒に行動をする時には、細かく声をかけるようにしているともいう。例えば、「次の角で曲がるけれど、段差があるから気をつけてね」「タイルが少し濡れてて滑るから気をつけてね」といった具合だ。

75歳男性から「そろそろ…」と打診のLINE

「歩幅が小さいから歩くのもゆっくりだし、すり足になるからほんのちょっとの段差でもつまずいちゃう。また、高齢者の特徴なのですが視界も狭くなるんです。だからお酒を飲んだ時には要注意です。一緒に銀座などに飲みに行けば人も多いし、駅などには階段もある。私は普段仕事で高齢者の方に接しているので、自然に対応できますが、福祉関係のお仕事をされている方は、ジジ活に向いているなと思います」(トミコさん)

相手の方とは月2回程度会うそうで、「そろそろお時間を作ってくれないか」と打診のLINEが届くと、「では、少し寒くなってきたのでお鍋でも食べに行きましょうか」などと彼女からプランを提案するという。高齢者はインターネットで調べるのが得意ではないため、トミコさんに計画をゆだねるが、それもまた相手にとっては楽しみで、電車に1時間ほど乗って飲みに行くなどびっくりするほど活動的だという。