なぜ第三党の民衆党が台頭してきたのか

1月13日、台湾総統選挙の投開票が行われた。3政党によって争われた選挙戦を制したのは、中国共産党に対して「強硬路線」をとる民進党(民主進歩党)の頼清徳らいせいとく副総統だ。

敗れた国民党(中国国民党)の侯友宜こうゆうぎ氏と民衆党(台湾民衆党)の柯文哲かぶんてつ氏は、中国共産党との「対話路線」を掲げていた。

中国共産党に対する姿勢が選挙戦の争点となったが、選挙結果を受けて「台湾有事」が近づいたと考えるのは早計だ。民進党は勝ったものの、選挙結果の中身を見れば、強硬路線を支持した台湾人は少数派であることがわかる。

中国と台湾の地図
写真=iStock.com/Sean824
※写真はイメージです

民進党・頼清徳氏の得票率が約40.0%に対して、対話路線の国民党・侯友宜氏は約33.5%、民衆党・柯文哲氏は約26.5%。つまり、台湾人の約6割は対話路線を支持しているのだ。

私は選挙前から、今回の総統選では対話路線の政党が過半数の支持を集めると分析していたが、蓋を開けてみたら実際にそのとおりになった。

長年、中国と台湾のアドバイザーを務めた私から見て、台湾人の本音は複雑だ。今回の選挙結果をより丁寧に読み解いていきたい。