「海外に送る社員には英語力は問いません。あくまでグローバル人材として経験を積んで、将来会社に貢献してくれそうか、という視点から人選を行います。ですから彼らには海外勤務中にはグローバル人材としての経験を積んでもらうことを重視し、具体的な利益などを求めることは考えていません」(永良氏)

海外で働くために、どのようなレベルが必要なのか。投資銀行業務に従事する30代のメガバンク社員に話を聞いた。

「20代後半から30代にかけてニューヨーク支店にいました。TOEICは940点くらいです。周りにはTOEICの点数がもっと高い人もいたけど、ビジネスでの英語が上手かというと疑わしいですね。

語学にはセンスがあると思う。センスを磨くにはローカルの人たちの輪に入っていけるかどうかがカギ。僕はプライベートで外国人と遊ぶことも多かったのですが、支店の日本人でプライベートで外国人と過ごしていた人はほとんどいませんでした。

そういう人は留学しても日本人同士でつるむ。どこに行っても日本人村をつくるんです。そうするとTOEICの点数が高くても、お勉強英語の範疇は出ない。ビジネスで本当に使える英語にはならないんです。

仕事で実用性のある英語を使うことはとても重要です。ローカルスタッフのマネジメントや、市場の貴重な情報を手に入れるためには英語がうまい必要がある。もっともNYでは日本人村だけでもビジネスはできる。それがいい仕事と言えるかどうかはわかりませんが」

待遇面はどうなのだろうか。