「日本製」を売るのではなく、「インド製」を売る

これまでにインドに出てきた日本企業でも撤退したところがいくつかあります。現地合弁の失敗例ではNTTドコモとタタ・グループ(2014年撤退)。それから、第一三共とランバクシー(2014年撤退)。他にもあるでしょう。これは私の意見ですが、合弁の場合はよほど慎重に相手と交渉しないと難しいです。老舗同士の合弁ではお互いにプライドがあるから大変なのでしょう。

貝印はパートナーを組まないで、スタンドアローンでインドに進出しました。その代わり、10年は辛抱しようと決めました。私はスタンドアローンのほうが成功する確率は高いと見ています。

私は66歳です。インドに生まれて31年住みました。日本には35年、住んでます。上っ面だけでなく両方の国の本質を見ているのです。

日本人がインドで失敗したのも見ました。気をつけなくちゃならないところを見逃したのを見ました。やるべきことをやっていないことも見ました。だから、忠告したいと思います。

例えばインドで売れている携帯電話は中国製、韓国製、そして、インド製です。Xiaomi、vivo、サムスンとrealme。サムスンはインドに工場を作って現地生産しています。

ポイントは現地生産なんです。インドの原材料、インドの技術をリスペクトしないとインドでは成功しません。

インドはものづくり大国なんです。インドにただ進出して物を売ろうという根性じゃなくて、工場を建設してずっとやっていく。だから信用されるのです。どうぞ、日本企業の方たち、インドに工場を作って、進出してきてください。

パンディア・ラジェシュ氏
撮影=プレジデントオンライン編集部
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