物は生きているうちに渡しておこう
持ち物を整理していると、高価なものや思い出の品など、「これはあの人に形見分けしたい」というものが出てくるでしょう。そのようなものがあるなら、死んだあとの「形見分け」ではなく、生前に少しずつ渡すことをおすすめします。つまり自分の意思で、「Aさんにはこれ」「Bさんにはこれ」というようにはっきりと決めて、生きているうちに譲るのです。「宝石やブランド品は友達みんなで仲良く分けて」「好みもあるだろうから、それぞれ好きなものを持っていって」というように、残された人に決めさせるのは一見親切なようですが、不公平感を抱く人も出てきます。また死後の整理を頼まれた人が適当に分配を決めると、「あの人より私のほうが故人と親しかったのに、なぜ?」と不満を覚える人が出てこないとも限りません。
どうしても生前に渡すことができず、形見分けでしか渡せないものは、「なぜこれをあげるか」という理由やメッセージを残すことを心がけてください。きちんと書き残すことでトラブルを防ぎます。
50~60代こそ終活適齢期
「家の片づけなどの終活は、何歳ごろから始めるのがいいですか?」
とよく聞かれます。50〜60代が終活を始める「適齢期」ではないかと私は考えています。なぜなら、この年代であればまだ体力もありますし、頭もしっかりしている。さらに親を見送る経験をする年齢でもあるので、人が死ぬとどういうことが起きるのか、どういうところで残された人が苦労するのかを学ぶことができるからです。
人間は「誰にも迷惑をかけずに死んでいきたい」と思っても、最後は絶対に迷惑をかけるものです。ただし迷惑の量を減らすことはできる。このように考えて準備をするのが正解ではないかと思います。
(構成=長山清子)