すっかり正月の風物詩として認知された箱根駅伝。だが、一部ではその価値に見合うような活用がされていないのではないかとの指摘もある。スポーツライターの酒井政人さんが、東大卒の元プロ野球投手で、経営学者・桜美林大学教授の小林至さんにインタビューした――。(後編/全2回)

※本稿は、酒井政人『箱根駅伝は誰のものか「国民的行事」の現在地』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。

日本テレビ(東京都港区)=2021年2月5日
写真=時事通信フォト
日本テレビ(東京都港区)=2021年2月5日
箱根駅伝は2日間、14時間以上にわたって全国中継され、30%近い平均視聴率を叩き出す。そのため、夏の甲子園(全国高校野球選手権)に匹敵するほどの日本最高峰の興行興価値に見合う“活用”がうまくなされていないばかりか、不明瞭な資金の流れや責任の所在など問題点も多い。国内外のスポーツビジネスに精通する小林至氏にこれからの箱根駅伝のあるべき姿について話を伺った。

※前編(「口座は個人名で金銭管理を好きなようにできる」興行最高峰・箱根駅伝主催が任意団体の関東学連でいいのか)から続く

放映権を「DAZN」や「Netflix」に売れ

――箱根駅伝は沿道警備などに巨額な経費がかかり、大きな利益があるわけではないようです。もっと「稼ぐ」ためにはどうしたらよいとお考えですか?

一番簡単なのは、放映権を「DAZN」や「Netflix」に売ることですよ。要するに入札させればいいんです。そうすれば、マーケット価格になりますから。

――現在の放映権料も関東学連としては巨額なのかもしれませんけど、もっと高く売れる可能性があるってことですよね。

そうだと思いますよ。我々が生きている資本主義の社会は、市場にさらすことによって公平公正が保たれる。つまり、フェアな価格になるというのが原則的な考えです。

現在の箱根駅伝は市場にさらされることのない世界ですから、放映権を市場に委ねてみれば、色々と変わるんじゃないでしょうか。要は日本テレビだけに売る必要はないわけですよ。

ただ売り手である関東学連が、それをしたいかどうか。売り手と買い手でいえば、放映権を売る側は、本来、選手と選手が所属する団体であるべきなんですよ。つまり、学生と大学です。メディアは、それを放映する権利を買う側。日本は売る側と買う側がごっちゃになっていて、権利が整理されていないことが、スポーツビジネスが発展しない原因だと考えられています。

昔、プロ野球映像の著作権はテレビ局が持っていました。パ・リーグは、2004年の球界再編以降、それを取り返し、その後、パシフィックリーグマーケティングという共同運営会社を設立して映像を管理するようになり、ようやく権利ビジネスをできる状況になりました。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)も、テレビ局と激しい交渉の末に放映権を取り戻して、売り手としてのスタートを切りました。選手がいなければ、試合は成り立ちませんから、本気でやればできるのです。箱根駅伝もその気になれば、できますよ。

――仮にもっと収益が出た場合、それは何に使うべきでしょうか?