私はこれを「愛の循環」とよんでいますが、おたがいが気持ちよくなれるのです。イスラムでは、支え合うことは美徳とされています。自分ではどうしようもできないとき、手を差しのべてくれる人が1人でも多くいたら、それはいいことだと思いませんか?

出産、育児を支え合う

人間が支え合うことはとても大切です。イスラムでは、このような教えを伝えているので、異母兄弟でも仲よく暮らせるのです。

人間のみならず、動物や虫は子孫を残しますよね。もちろん人間も同じで、だれも子どもを産まなくなったら人間は絶えてしまいます。イスラムでは「子どもを産むのはよいこと」としてすすめています。

人間を絶やさないため、そしてムスリムが増えるためです。もし、子どもが少なくなってしまったら、どうなるでしょうか。今、日本のみならず欧米などの先進諸国では、ますます少子化が進んでいて深刻な問題になっています。では、なぜ少子化になったら問題なのでしょうか。

まず、子どもが若者に成長しても、その若い方が少なければ労働力が不足します。そうすると経済が回らなくなり、お金をかせぐことができなくなってしまいます。そうなれば、必然と国は衰退してしまうのです。ですから、若い方の原動力はとても大切です。

少子化になる心配がない

一方、イスラム圏では子どもが多く、少子化の心配はありません。イスラムでは、子どもはアッラーからおくられた宝物と考えているのです。

食事を楽しむイスラム教の家族
写真=iStock.com/Drazen Zigic
※写真はイメージです

もし、子どもを産むことをすすめていなかったら、どうでしょう。ママもパパも、わざわざ子どもをつくろうとしなくなってしまうかもしれません。なかには、望んでも赤ちゃんが宿らない人や、今は望んでいないという人もいます。

日本と同じように、イスラム教徒(ムスリム)も、そういう人がいけないのかと言ったら、もちろんそんなことはありません。子どもを産むことをすすめてはいますが、アッラーはそのような方でも、ちがう方法で天国に入れる道をあたえてくださっています。

イスラム圏では子どもが多いですが、子どもの命を害さないかぎり、お産の制限はみとめられています。ですから、好きなだけ産むということでもありません。

日本では時々、子どもをモノのようにあつかう親がいて、なかにはテレビのニュースになることもあります。

家族は宝だ

しかしムスリムは、自分の子であっても、いずれ神様にお返しする借り物のような考えです。たとえ親子でも、人間をモノあつかいするのはまちがっています。イスラムでは、子どもたちはとても大切な存在、愛しい存在なのです。

正直、子どもを育てることって大変です。楽しいことだけではありません。私は今8人の子育てをしていますが、こんなに自由がなくなることって、今までありませんでした。幸せなことばかりではありませんでした。