家族のため、女性の負担をなくすためのルール

たまに聞かれるのですが「なぜパパには4人までママがいていいのに、ママは4人まで結婚していいとはならないの?」と疑問に思う人もいます。

なかには「一夫多妻は、女性を軽く見ているんじゃないの? 不平等よ!」という人もいますが、ママがたくさんのパパと結婚できないのは理由があります。

まず、パパは外でお仕事をしていることが多く、家を空けている時間が長いです。そのあいだ、ママはお料理やお掃除など、家のことをやるだけでも大変です。また、どんなにパパが手伝ってくれたとしても、赤ちゃんを産むことはママにしかできません。ママが何人ものパパの子を出産し、さらに仕事まですることになると、とても女性の負担が多すぎるのです。

イスラムの一夫多妻は、男性のためではなく、家族のため、そして女性の負担をなくすためでもあるルールなのです。

とはいえ、それを受け入れるには条件がある、ということも知ってもらえたらうれしいです。

お祈りをするイスラム教の親子
写真=iStock.com/Rawpixel
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「異母兄弟」でも仲よく暮らせるのはなぜか

異母兄弟とは、ママがちがう兄弟のことです。イスラムでは、一夫多妻がみとめられているので、異母兄弟がいる家庭があります。「ママがちがうのに、仲よく暮らせるの?」と思ったかもしれませんね。

家庭にもよりますが、たとえママたちの仲が悪くてもパパは同じですし、異母兄弟たちは年も近いことが多いため、子どもたちは仲よく暮らしている家庭が多いようです。近くに住んでいる場合は、一緒に遊んだり、お泊まりしたりしています。

兄弟が多いと、大きくなったとき、支え合えることが増えます。大人になれば、親には相談しにくいことも出てきます。でもそのとき、兄弟同士で支え合えるなら、それだけこまったときに助けられるのです。

人間は、1人では生きていけません。たしかに、何から何までたよりきることは問題です。ただ人生では、自分だけではどうにもならないことが起きてしまいます。

そんなときに、手を差しのべてくれる兄弟がいると、とても心強く感じますよね。みなさんも、こまったときに手を差しのべてもらったことはありますか。慣れていないと、うれしいけど、はがゆい気持ちになるかもしれません。ですが、みなさんがうれしいだけでなく、じつは手を差しのべ、助けた人の中にも、温かい気持ちが生まれ、そうした思いはめぐりめぐっていきます。