大炎上するどころか、社員は「メルカリ最高」

【工藤】第2章では社員の皆さんに説明するというターンに入られたと。

【趙】想定していない反応が男性からも女性からもありましたね。そもそも男女賃金格差については開示義務になったので、9月の人的資本開示で発表することは決まっていました。

ですが、この話を社外にいきなり出すのではなく、まずは社内にしっかり伝える必要があります。「私たちの会社には7%の説明できないギャップがあったので、女性に対して是正のアクションをします」と。それをどうやって伝えようかと。

【工藤】丁寧に伝えていかないと、「私が今まで受けてきた評価はアンフェアだったの?」という話になるかもしれない。

【趙】それに話自体が、ジェンダーと報酬の話で……。

【工藤】大炎上しそう(笑)。炎上×炎上みたいな。

【趙】そうなんですよ。だから経営リーダーから、月イチの全社集会で発表することをお願いしました。「それがメルカリらしいね」との、承諾を得ました。全社集会でトップから、データ分析の結果と、是正アクションをすることについて発表し、その場で質疑応答を行いました。

社員からの反応は想定以上のものでした。その時のSlackの反応を一部紹介すると、「ジェンダーペイギャップに気づいたのすごいし、変わろうとしているのもすげえ」とか「女性の給料が上がるとかそういう話ではなくて、日本全体で抱えていて、明示的なのに誰も触ってこなかったであろうことを明確にして、開示して施策に落とし込んで実行する、メルカリ最高だと思いました」みたいな。

「前職からの格差をどうするか」は今後の課題

【工藤】社内のロイヤリティ(会社への愛着)が急上昇している。

【趙】もちろん疑問の声も上がりました。例えば、この賃金格差は前職給与を参考にしているところから生まれているギャップですよね。メルカリが新しく生み出したギャップではないとも考えられる。どこまで企業として責任を負うべきなのか? といった問題提起があったり。あと前職給与を参考にせずに、オファー年収って本当に出せるのか? といった今後の運用に関する疑問も上がりました。

私たちが一番気にしていたのは、男性からの反応でしたが「フェアな取り組みに賛同します」と表明される方が多かったです。中には、「自社のこのような取り組みを誇りに思う。ありがとう」というメッセージをわざわざくれる男性社員もいました。

一方で、この話って、不満やもやもやが表面化しづらいとも思うんです。男性が不満を口にするのも難しいし、もしかしたら女性だって言いづらいかもしれない。社員からの声をすべて把握しきれていないとは思っています。