仕方なく私が二人分のコーヒー代を出すと…

次の喫茶店は席に着く前に、代金を支払うスタイルだった。伸一さんは、メニュー表で一番安い600円のコーヒーを指差す。私はそれより200円高いカフェオレを頼みたいけれど、もしかすると先ほどおつりをくれなかったし、おごってくれるのかもしれない、それなら高くなると感じが悪いと思い、同じ600円のコーヒーを注文した。

だが伸一さんは注文後に私の後ろにそそくさと隠れ、動かない。

仕方なく私が二人分のコーヒー代1200円を店員さんに渡す。

「あの……」

伸一さんが私の服の裾をひっぱるので振り向くと、彼は手のひらを差し出した。その上には600円が。おしゃれなカフェのレジ前で小銭の出し合いをしたくなかったので、「大丈夫ですよ」と私は言う。

そして再び1時間、私は彼の元妻の話を聞き続けるのだった。

帰宅すると伸一さんから「今日は楽しかったですね。ぜひ今度はおいしい居酒屋さんを案内してください(ニッコリマークの絵文字)」というショートメールがあった。私のほうが年下なのだが、これではまるで男女、年齢ともに逆転の立ち位置ではないか。がっかりしてしまう。

秋葉原で「男性は43~55歳で年収600万円以上」

私はケチなほうではない。飲食する相手が男性でも年上でも、自分の分は払いたいと申し出てきた人間だ。けれどその大半は「仕事」がからんでいたからかもしれないと改めて思った。

仕事ではない生身の男と女で接した時、「お金を出してほしい」という気持ちが芽生えた。私にお金を出してくれないということは、「女性として価値がない」と言われているように感じて、寂しい気持ちになったのだった。

気を取り直して翌週、飲み会に行くことにした。第2回に記したような婚活パーティの合コンスタイルである。前回は銀座に行ったが、今度は秋葉原を選ぶ。堅実な会社員が多そうなイメージだったからだ。参加対象は銀座開催より年齢の幅が広がり、男性は43~55歳で年収600万円以上、女性は41~53歳で恋愛に前向きな人。参加費は男性が7400円、女性が3900円。

夜の秋葉原
写真=iStock.com/fotoVoyager
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しかし当日、参加した男性4人を目にして、申し訳ないが一瞬で帰りたくなった。どの人もくたびれた、冴えない雰囲気だったのだ。しかしもしかすると、中身は楽しい人かもしれないと思い直し、席に着く。

婚活事務局のスタッフは銀座開催の時よりも雑な確認で、出欠と本人の身分証を確認した後に「私は次のパーティがあるので」と、さっさと退席してしまう。