41歳、婚姻歴ナシ、料理人、年収350万円

第6回の婚活パーティから数日後、初めて「お見合い」を経験した。

男女有料の婚活サイトを通して知り合い、マッチングした志郎さんとだ。その婚活サイトでは系列の結婚相談所を「お見合いの場」として30分間だけ提供するサービスを行っていた。カフェやレストランで会えば、〝どちらが奢るか〟が気になってしまう。それなら飲食は抜きで「顔合わせ」だけを目的としたほうがいいかもしれないと思い、私から志郎さんに提案した。すると彼も、「いいですね。それではお見合いをしましょう」ということで二人で日時を決め、サービスを申し込んだのだ。

志郎さんは私より年下の41歳で、婚姻歴はない。料理人で年収は350万円と、私よりも低かったがあまり気にならなかった。国立大学出身で文学が好きとのことで、LINEでの話は弾んだ。そして写真で見る限り、私が好きだった人と雰囲気が似ていたので、好感をもったのだ。

お見合いの場である結婚相談所に着くと、スタッフの方がにこやかに迎えてくれた。

「お相手様は、もういらっしゃっていますよ」

日本食レストランの夕食を作る人
写真=iStock.com/Supapich Methaset
※写真はイメージです

「よかったら今度お茶しませんか」とLINEをした

ブースに案内され、志郎さんを一目見た時、写真のままだ!と、とてもうれしかった。つまり自分の好きだった人と似ているということだ。彼もニコニコ笑いながら、大学時代のこと、これまでの仕事の経歴、今の仕事、スポーツの話など、いろいろなことを話してくれた。しかし規定の30分が終わろうとする頃、志郎さんは激しく咳き込んだ。

「すみません、一昨年、肺の手術をして、連続して、しゃべれなくて」

と言う。もっと早く結婚したかったけれど、この肺の病気もあったため難しかったそうだ。30分というお見合いのしめくくりで何となく暗いムードが漂う。

お見合い終了後、二人は別々に退席しなければならない。私は志郎さんに笑顔で手を振って部屋を出た。

そして家に帰ってから「体調を心配していること」と、「よかったら今度お茶しませんか」とLINEをした。すると、

「せっかくですがご辞退させてください。自分の体調も立て直したほうがいいですし、できれば子どももほしいんです」という返信がきた。