「自分は何で評価されたら幸せを感じるのか」を知る

男性に多いパターンは、仕事でしか自己実現できないタイプでしょう。ひたすら働くことに時間資源を投入し、会社や社会から評価されることに幸せを感じます。そのかわり結婚には興味がなく、仮に結婚していても、妻や子どもには興味を示さないかもしれません。そんな男性が妻から「いくらなんでもひどすぎる」と離婚を切り出されても、「あっ、そうなの」という程度で、全く傷つかないでしょう。そのかわり仕事で大きな失敗をして挫折すると、人生が崩壊して鬱病になったりします。

一方で女性に多いのが、「家族がすべて」というタイプです。夫にさほど愛情がないと「子どもがすべて」となり、子どもをいい学校に入れるべくお受験に夢中になったりします。こうした女性がパートタイムの仕事をしていて、上司に「おまえみたいに仕事ができないやつは要らない。クビだ」と言われても、「あ、そうですか。別のとこを探すからいいです」と言うだけでしょう。しかし、溺愛していた子どもが反抗期で家出するようなことが起きると、みるみる心を病んでしまったりするのです。

これはいささかジェンダー・ステレオタイプな事例ですが、米国の精神科医はこうした患者を多数診療し、「一人ひとりに人生の資源を投入する主要な領域があり、それが崩壊したときに心を病み、自分のところにやってくる」と考えるようになりました。逆にいえば、人生で優先順位が低いものがどうなろうと、ほとんど影響はないのです。

とはいえ、「自分は何で評価されたら幸せを感じるのか」「そのために自分のリソースをどこに割くべきか」をわかっている人は多くありません。それは遺伝的な特徴と、これまでの人生の環境や経験によってつくられるのでしょう。それを見つけるためには、どうすればいいのでしょうか。

誰にでも当てはまる便利な処方箋はありませんが、私たちはみな自分を中心とした小さな世界で暮らしています。最近の小説や漫画を見ていても、半径30メートル以内で起こるようなドラマばかりです。これも進化の基本設計なので、職場や家族、恋人や友人など、まずは小さな空間で、自分が大切にするものは何なのかを考えてみるといいのではないでしょうか。

新しい価値1
自分の評判を上げよう!
得意なことに資源投入!
(構成=向山勇)
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