問題だらけの義実家

ところが、義実家での暮らしは良いことばかりではなかった。

まずは義祖父。七瀬さんが敷地内の小屋をリフォームして住みたいと言ったときから、七瀬さんを邪険に扱うようになった。

「『こんな立派な家があるのに何で文句があるんだ!』と言われました。(同居した家は)50坪くらいの大きさでしたが、部屋は足らないし、プライバシーもないような家でした。子どもたちがまだ赤ちゃんの頃、少しでも泣こうものなら、『何泣かせてんだ!』と皆が飛んで来るんです。赤ちゃんは泣くのが当たり前なんですがね……。それに、結婚して出ていった義弟は6畳の部屋、義妹は8畳の部屋があるのに、私たちはもともと夫の部屋だった8畳の部屋に子ども3人と夫の5人。タンスや子どものものを置くと寝るだけで精いっぱいでした」

それだけではなかった。一番上の長男が生後半年を過ぎた頃、義祖父母は長男を自分たちの寝室に連れて行ってしまうようになったのだ。長女が生まれると、長女も連れて行ってしまう。

「私が看護師の仕事に復帰した後も、子どもたちのことは義祖父母がわが子のように世話をしていました。私が保育園に預けると言ったら怒られました。私が休みの日でもお構いなしに連れて行ってしまうので、私は子どもが小さいときに、あまり子どもと一緒にいた記憶がありません。さすがに頭にきて、『自分の子どもは自分で育てるから』と、義祖父母から奪ってきたこともあります」

さらに義母がくせ者だった。義祖父母と義父は子どもたちをかわいがっていたが、義母は子どもが好きではないようだった。七瀬さんが夫から聞いた話によると、夫と義弟、義妹は、ほとんど義祖母に育てられたという。

「私が結婚して同居した頃は、義母は家の中で浮いた存在でした。掃除はできない、料理は作れない、天ぷらを揚げていてそのまま忘れ、火事になりそうになったことも数回あります。私は消防に連絡しなくてはと慌てましたが、その度に義祖母は落ち着いて分厚い座布団を天ぷら鍋の上に乗せて消火していました」

長男が生まれたばかりの頃、義母に「ミルクを飲ませてみたい」と言われたことがある。七瀬さんがお風呂に入れた後、義母が用意したミルクを義母が長男に飲ませた。

一口飲んだ長男は火が付いたように大泣きし、びっくりした七瀬さんは哺乳瓶を触った途端状況を理解した。触るのも熱いほどの熱湯ミルクだったのだ。

ミルクを飲んで、火が付いたように泣き出した赤ちゃん
写真=iStock.com/fcafotodigital
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すぐに病院に連れて行くと、医師からは「口の中や喉をやけどしているため、しばらくミルクは飲めません」と言われ、点滴でしのぐことになった。

長男が1歳くらいになった頃、義母は七瀬さんの見ていないところで、今度は勝手に長男に熱湯を飲ませた。またしても長男は火が付いたように大泣きし、七瀬さんが飛んでくると、義母は「間違ってやっちまった」と笑いながら言う。さすがに頭にきた七瀬さんは、「お義母さんが寝たきりになったら、熱湯飲ませてやるから!」と言って長男の処置にあたった。

「義母はわざとではなくて、確認不足。いわゆる、大人の発達障害なのかもしれません。だとしても、ヘラヘラ笑いながら謝りもしないことに怒りしかありませんでした……」

家事育児全般まるでダメだった義母は、農作業をするのは好きで毎晩暗くなるまで外で働き、義祖父を手伝っていた。義父はバスの運転手もしていた。