調理済みの食事を自宅へ配達してくれる「宅食」サービスが確実に成長している。矢野経済研究所では、2006年に463億円だったピザや外食チェーンなどの宅配を除く「在宅配食」の市場が、15年には775億円に達すると予想する。9年間で約1.7倍という堅調な推移の背景にあるのは、高齢者人口の増加だ。足が悪い、近くに店がないなどの理由で買い物にいけない人や、料理ができない人にとって、温めるだけ、あるいは適温で供される食事はありがたい。栄養バランスのよさやメニューの豊富さなども魅力だ。

矢野経済研究所フードサイエンス事業部主席研究員の加藤肇氏は、それに加えてサービス供給側(参入側)のメリットも指摘する。

「以前、在宅配食サービスは自治体が補助金を出して業者に委託する公的サービスでした。そのため『適時適温』の完全調理品の配達や利用者の安否確認など遵守すべき点も多かった。民間企業にはこれらが求められなくなり、参入しやすくなっています」

自治体によるサービスだったころは委託先が地場の業者だったため配達地域も限定されていたが、セブン-イレブン、すかいらーく、ワタミなど大手民間企業の参入にともない配達網も拡大。セントラルキッチンの採用などで、参入側も採算が合うようになってきた。

「現在の高齢者は自炊派がほとんどですが、それより少し若い『高齢者予備軍』は、店で惣菜を買う習慣のある人も多い。彼らが高齢者になるころは、さらにある程度の需要増が見込めるかもしれません」(加藤氏)