「今夜のおかずは魚にしようかな」と思っても、下処理や後片付けを考えると、つい肉に手が伸びるという主婦は多い。近年、魚の消費量は低下の一途をたどり、2006年には肉と魚の消費量が逆転。10年の水産白書によれば、国民1人が1日に食べる量は、魚72.5g、肉82.5gと、ますます差が開いている。この魚離れを食い止めるために水産庁が立ち上げたプロジェクトが「ファストフィッシュ商品」の公募だ。ファストフードのように手軽においしく水産物を食べられる商品や食べ方を広く一般から募集し、一定の基準を満たしたものをファストフィッシュ商品として認定する。

1回目の公募で選定されたのは、イトーヨーカドーの「レンジアップ商品」など、小売業とメーカーを合わせて32社53種の商品だ。イトーヨーカ堂鮮魚部シニアマーチャンダイザーの早田義浩氏は次のように語る。

「『レンジアップ』は味つけ済みの生魚をレンジで加熱するだけで、そのまま食べられるのが特徴です。いわゆる惣菜にも魚料理はありますが、すでに調理してあるため食べる前に再加熱することで風味が損なわれることがある。しかしこの商品は生から加熱するので、ふっくらとおいしく仕上がります」

長時間の加熱でも変形・変質しないトレーをメーカーとともに2カ月以上かけて開発。生ゴミも出なければ、魚に一切触れずに調理できる手軽さが受けて、売り上げは発売開始時に比べ4~5倍に増加した。

「日本は魚食文化の国。まだまだ需要増が見込めるはずです」(早田氏)