日本における遺産相続市場は推計で年間40兆~50兆円という興味深いレポートをフィデリティ退職・投資教育研究所が発表した。その内訳は、現金と預貯金21兆円、有価証券6.3兆円、土地23.7兆円。今後も、高齢者の増加に伴い年間死亡者数は増え、金額はさらに拡大するという。

調査は今年2月、インターネットで行われた。結果、5500の有効回答を得たことから、相続の実態をデータで掴むことのできる報告となっている。同研究所の野尻哲史所長は「市場の大きさもさることながら、従来は感覚として捉えていた日本人の相続資産に対する保守的な心情と高齢化社会ゆえに起こる“老老相続”ともいうべき現実が数字で裏付けられた」と語る。

例えば、これまで地方在住の親から首都圏等で生活する子への相続による資金の地域間移動が問題視されていた。しかし、実際には大きな移動はなく、全体の22.5%に留まったという。ちなみに、そうした場合、かなりの確率で金融機関間も移動するが、それでも5割超は同じ業態の金融機関同士で行っている。歩留まりの高い順に見ると、都市銀行(74%)、次いで証券会社(65%)、ゆうちょ銀行(60%)で、地方銀行は43%と必ずしも高くない。

今回の調査で明らかになった日本人の相続時の行動傾向は「ここしばらくは劇的に変化することはないだろう」と、野尻氏は見ている。ただ、自分でつくった資産も相続で得た資産も一元管理するほうがベターだし、経済情勢等も考慮して、使い道を決めておくのも一考だろう。