能力が高くても協調性がなければできないスポーツ

現役だった頃はこうして言葉で説明できませんでしたが、感覚的には理解していた気がします。高校時代、ぼくは線が細いながらも、高校日本代表候補に選んでもらいました。ぼくのポジションのウイングには、ぼくよりも明らかに身体能力が高い選手もいた。

撮影=プレジデントオンライン編集部

代表を絞り込む最後の合宿で、候補選手がA、B、Cの3チームに分かれて試合をしました。即席チームだからミーティングを行って作戦を考えたり、チームメイトに自分の強みやプレースタイルを伝えて要望を言ったりとコミュニケーションを取る。でもぼくよりも能力が高かった選手は「オレ、パスをくれたら走るから」としか言わずにチーム全体について考えようともしなかった。結局、彼は代表には選ばれなかった。能力が高かったにもかかわらず、です。

思い返せば、代表に選ばれたのは、ミーティングに主体的に参加した協調性がある選手ばかりでした。

ラグビーは、15人のチームスポーツです。協調性がなければ、どんなに能力が高くても力を発揮できない。上のレベルでは戦えないんです。いかに仲間と協調するか。大げさに言えば、それをラグビーを通して細胞レベルにたたき込まれました。現役を退いて20年近く経って思うのです。ラグビーのおかげで、人間関係の築き方を学べたし、社会性を身につけられたんだな、と。

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