日本人はいつからダイエットに熱心になったのか。食文化研究家の畑中三応子さんは「タニタが体脂肪計を開発したことの影響は大きいだろう。その結果、肥満とは単に体重が多いことではなく、脂肪によるものだという意識が広がった」という――。

※本稿は、畑中三応子『熱狂と欲望のヘルシーフード 「体にいいもの」にハマる日本人』(WEDGE)の一部を再編集したものです。

おなかの肉をつまむ人
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体内の見える化を進めた体重計と体脂肪計

いまでは耳慣れた「体脂肪」という言葉、医学の専門用語と思いきや、実は計測機器メーカー大手の「タニタ」が、「体内脂肪」を縮めて作った造語だった。体脂肪というものが自分の体のなかに存在することを日本人に意識させ、増減を気にしながら生活するように仕向けたのは、まぎれもなくタニタである。2010年には、シリーズ累計が542万部という、レシピ本史上空前のメガトン級ベストセラーになった『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)を発刊して、社名を日本全国に知らしめた。

タニタは、旧名・谷田製作所時代の1959年、戦後国産初の家庭用体重計を「ヘルスメーター」と名づけ、生産を開始した。体重は銭湯に行ったとき、脱衣所に置かれた体重計で計るものだった時代である。谷田製作所の当時の主力製品は懐中電灯、シガレット・ケース、トースターなど。社長の谷田五八士がアメリカから体重計を取り寄せ、研究を重ね、製造にこぎ着けるまで8年間を費やしたという。