一流の人はどのように本を読むのか。早稲田大学名誉教授の内田和成さんは「『著者の文脈』を完全に無視して、『自分にとって役に立つか』『面白いか』という視点で読んだほうがいい。いくら多くの本を読んだところで、その本の内容や著者の主張を理解しているというだけでは、差別化は図れない」という――。

※本稿は、内田和成『アウトプット思考』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

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「2次情報」と「1.5次情報」

一次情報(自分が直接見聞きした情報が)が最もパワフルであることは言うまでもないが、一次情報を手に入れるには時間も手間もかかる。新聞やテレビ、雑誌、書籍、ネットなどのメディアから情報を入手することももちろん重要だ。いわゆる「二次情報」である。

ちなみに私は二次情報をもう少し細分化して、二つに分けて考えている。

一つめが、いわゆる世間で言うところの二次情報というもの。つまり、新聞や雑誌などに載っている情報、インターネット上の各種サイトやデータベースから誰でも引き出せる情報、といったものだ。

二つめは、それらの情報に自分の経験から得られた話や考察などを加えたものである。こうなると、単なる二次情報とは違って、独自な見方や考え方が少しは含まれることになる。書籍や新聞・雑誌・オンラインメディアの署名記事、個人ブログなどがこれにあたるだろう。「一・五次情報」と言ってもいいかもしれない。

「アイデアの元になる情報」を得るには紙媒体が便利

最初に、「好き嫌い」の話をしてしまえば、私はテレビや動画よりも、書籍や新聞・雑誌などの紙媒体のほうが好きである。

理由はいくつかあるが、やはり私の情報に対するスタンスが大いに影響しているだろう。

数ある情報の中でも、私は「アイデアの元になる情報」を最も重視している。こうした情報を得るためには、網羅的に情報を漁るというよりも、「何か面白いことがないかな」という視点で情報をチェックして、気になったものを頭の中でマークし、頭の中の引き出し(「20の引き出し」)に入れていくほうがいい。

そして、こうした情報の読み方をするにあたっては、紙媒体のほうが便利なのである。新聞や雑誌、書籍といった紙メディアはテレビと違って自分が読みたい記事だけ、あるいは好きな記事だけを選んで読めるからだ。

一方、テレビは基本的に受け身のメディアである。発信者が発信したとおりに情報を受け取らざるを得ない。また、ある部分をすっ飛ばしたり、ある部分を考えながらゆっくり深く観るといった情報の取捨選択も難しい。これが私にとってはあまり心地よくない、ということである。

とはいえ、これはあくまで好みの問題である。どのメディアが優れていてどのメディアが劣っているということはなく、それぞれ目的に合わせて使い分ければいい。私だってテレビも観ればネットも使う。

その使い分けは人それぞれだと思うが、以下、私にとっての使い分けをご紹介していきたい。