優れたアイデアを生み出すにはどうすればいいのか。早稲田大学名誉教授の内田和成さんは「おもしろそうだと思った情報を頭の中で泳がせ、熟成させるべきだ。まずは自分が何に関心を持っているかを一度リストアップしてみるといい」という――。

※本稿は、内田和成『アウトプット思考』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

積まれた本の上に光る電球
写真=iStock.com/Kriangsak Koopattanakij
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誰にでも使える汎用的な方法

私自身、すべてのアイデアや情報を取っておくようなことはしていない。だから、街中でふと「これは面白いかも」と思ったネタがあっても、そのまま二度と引き出されないことも多々ある。それはそれで仕方がない、と割り切っている。自分にとって大した情報ではなかったということだ。

だが、そのようなやり方で本当にアウトプットが、つまり優れたアイデアが生み出せるのか、不安に思う人もいるだろう。ここで、私の秘蔵のノウハウを紹介したい。それが「20の引き出し」である。

実はこの「20の引き出し」については、いろいろな本や雑誌で何度も書いているのだが、なかなか理解してもらえないことが多い。「本当にできるのか」とか、「内田さんだからできることだ」などと思われがちなのだ。

ただ、私としては長年このやり方を活用しているし、誰にでも使える汎用はんよう的な方法だと自負している。以下、その方法についてお話ししたい。

得た情報を「頭の中の引き出し」に放り込む

「20の引き出し」とは何かをひと言で説明すれば、「頭の中に情報を整理して入れるための仮想の引き出しを作っておく」ということになる。新聞や雑誌、ウェブなどで得た情報や、人から聞いた話、街中で見かけてふと気づいたことなど、入手した情報を、その頭の中の仮想の引き出しの関連する場所に入れておくのだ。

あなたが「リーダーシップ」「イノベーション」「人材育成」に関心があるとすると、とりあえずこれが三つの「引き出し」となる。そして、ある情報を得たときに「これはリーダーシップにとってのヒントになるな」と思ったら、それを頭の中の「リーダーシップ」の引き出しに入れる、ということだ。

この引き出しは実際に存在するものではなく、あくまでイメージだ。引き出しよりも、机の上に置かれたファイルボックスや、パソコンのフォルダのほうがイメージしやすいというのなら、それでもいいだろう。

つまり、自分にとって必要な情報が得られた際、その情報を頭の中の引き出しやファイルボックス、あるいはフォルダに入れるとイメージするのだ。