「ポジ」と「ネガ」の黄金比

太陽だけでも北風だけでもダメ。ほめは重要だけれども、ネガティブな話でも、きちんと伝えるべきことは伝えないといけない。問題はそのメリハリ、バランスなのです。

「ポジティブとネガティブのフィードバックの最適割合」を科学的に証明しようとする研究も多々あります。

2005年、心理学者のマーシャル・ロサダ氏とノースカロライナ大学教授のバーバラ・フレドリクソン氏は、人間が幸福を感じる転換点は、「ポジティブな感情とネガティブな感情の比が2.9013のバランスにある」と結論付ける論文を発表し、ポジ3:ネガ1の「ロサダ比」として話題になりました。

「ポジティブな感情がネガティブな感情を上回るには、ネガ1に対して、ポジが3つ必要」と説いたのです。

あるアメリカのコンサルティング会社の研究では、「ポジティブが6」に対して、「ネガティブが1」という割合がベストという結論も出ています。

結婚生活においても、この割合は大きな意味を持ちます。男女関係学の権威であるワシントン大学のジョン・ゴットマン名誉教授によれば、結婚生活がうまくいっているカップルのポジ・ネガ比は5:1、離婚したカップルの場合は、0.77対1、つまり4つの否定的なコメントに対して3つの肯定という割合だったそうです。

激しく口論する男女
写真=iStock.com/kieferpix
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ちなみに、ゴットマン教授は、関係性を壊す4つの要因として「批判」「軽蔑」「自己防衛」「無視」を挙げています。

みなさんのご家庭は大丈夫でしょうか。

職場でも、業績の高いチームほどポジティブなフィードバックの比率が高く、ポジティブなフィードバックほど効果が持続することが明らかになっています。

このように、比率には諸説あるわけですが、「ポジ>ネガ」の割合は維持したほうがよさそうです。

ほめるときは、きちんとほめ、信頼関係をつくったうえでなら、多少ネガティブなフィードバックも、受け入れてくれるでしょう。

まずは「ほめる」が基本動作というわけです。