「データは新しい石油(Data is the new oil)」――そんなフレーズが米国で話題になっている。「データが価値を生む」という意味だけではない。「加工しなければ価値が生まれない」という皮肉も含まれているのだ。

今、企業のIT利用でもっとも注目されているのが「ビッグデータ」だ。しかし、今年7月、ガートナーリサーチ・バイスプレジデント 堀内秀明氏は、「2015年までで、Fortune 500企業の85%以上が、ビッグデータの活用に失敗するだろう」と講演で述べた。

「『データならうちにもあるから、それを分析したら何か素晴らしい秘密がわかる』と考えがちだが、何の目的意識も持たないまま検討を進めても無駄な時間が費やされるだけ」と日立コンサルティングの小林啓倫氏は断じる。

ビッグデータそのものが役立つか否かは、データのボリュームや技術面、分析内容だけが問題ではない。ビッグデータから得られた知見を活かす素地が社内にあるかどうかがカギなのだ。

「組織の壁を越えるような動きができるか、あるいはそもそも組織間でデータを共有することができるか。問題はむしろデータ分析の周辺にある」(小林氏)。たとえばデータ分析により有効な組み合わせが判明したときに、すぐにその組み合わせのセット販売の実験を開始し、さらにその結果をフィードバックして分析を深められるようなことができる企業でないと、ビッグデータは無用の長物だ。戦術レベルではなく、戦略レベルで活用するためには、むしろ経営層のビッグデータへの意識の高さが欠かせないのだ。