切るに切れない人間関係の難しさ

この、女でも男でも一定数いる「自分の傷を見せて誘惑しようとするタイプ」は、なかなか対処が大変です。突き放すわけにもいかないし、かといって、一緒に泥沼に入るわけにもいかない。突き放したら、あの人は冷たい人、ひどい人としてみなされてしまう。また、後ろめたさも感じるでしょう。

不倫男のよく使う言い回しで、「奥さんとうまくいってないんだよね。寂しいんだ」「奥さんは俺より仕事のほうが大事なんだ」「子どもが第一だから俺の存在は空気みたいで」などというものがあります。「いや寂しいならどうぞ奥さんに言ってくださいよ」というところではありますし、職場はそれを埋めるところではありません。

ほかにも「トラウマがあって」とか、「親とうまくいかなくて」とか、「女性に対して、ちょっと壁があるんだ」とか「こんなことを話せるのはあなただけだ、話を聞いてくれるから、僕はほっとするんだ」とか、バリエーションは豊富です。

本当にただのクズであれば、ここで関係を切ってもいいような気もしないでもないのですが、なかなかそうはいかない場合もあります。それが職場の人だったり、取引先であったり、仲間だったり。その職能については信頼できるものがあって、仕事は一緒にしたいなどもあるでしょう。実際問題、にわかに関係を切ることができない。

こういう場合に、どうサッと身をかわすか、というのは、実はかなり多くの人が頭を悩ませているのではないかと思います。

「私から奥さまに言うたげまひょか?」と華麗に撃退

もちろんストレートに言ってもいいのです。今風にストレートに言うのだったら、「自分は推しのことで頭がいっぱいで、それどころじゃない」などというのもありかもしれません。「今のはセクハラですね!」と強めに笑い飛ばしていくというのもキャラによってはありかもしれません。

でも、上司からやられているのだとしたら、「これで昇進チャンスが逃げていくことになっちゃうんじゃないか」という不安も生まれるでしょう。「重要な仕事が回ってこなくなるんじゃないか」「見えないところで不利な立場に立たされてしまうんじゃないか」という心配もあると思います。

こうした状況で自分だけ妙に手間のかかる仕事が回ってきたりすると、いらぬ勘繰りをして精神的に疲れてしまったりするということもあるでしょう。できれば、エレガントに退けたい。なおかつ、それ以降は黙っていてもらいたいですよね。

コワーキングスペースで働く若い日本人ビジネスマン
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

では、実際には京都人ならどう対応するのか。お聞きしてみました。

「言いにくおしたら、私から奥さまに言うたげまひょか?」
「ウチは頼られるほど、丈夫にできてまへんので、一緒にこけてしまいますー」
「私は強い男さんが好きどすし、そんなん言われたら嫌いになってしまいますえ」
「そんな頼れる強いお方を一緒に探しましょか」