「休まないこと」が立派なのか

日本は世界と比較して、会社員の有給休暇の取得日数が少ない。厚生労働省の調査によると、休みにくい最多の理由は「みんなに迷惑がかかると感じるから」。自分が休んだら誰かに負担がいってしまう。お互いに気を遣って休めない。みんなが休めればお互い様だと思うのだが、休みにくい空気が漂っている。

この原因とまでは断言できないが、「休まない子が立派」という文化は学校生活で培かわれる。欠席日数が高校入試に関係したり、休むと授業に付いていけなくなったりする。皆勤賞が表彰され、休まない子が先生から認められると、休みにくい雰囲気ができる。

確かに、休まずに頑張っている子は立派だと思う。でも、それと比較して休んだ子が悪いとか、不利になることは間違っている。休みにくい雰囲気が助長されて、子どもを追い込んでしまう危険がある。

皆勤賞なんて必要ない

例えば、悩みごとを抱えている子が、思い切って親に「今日は休みたい」と伝えたとする。聞いた親は驚くだろうが、頭の中に「学校を休むと不利になる」という意識があると「もう少し頑張ってみたら」と説得してしまう。勇気を振り絞って相談したのに、休ませてもらえなかった子どもは、逃げ道をなくす。

実際に同じような例で、一時的に不登校になったり、いじめの発覚が遅れたりすることがあった。休みにくい雰囲気が子どもと親の余裕を奪い、子どものヘルプのサインを見逃すことにつながる。子どもも親も休みやすい環境があれば、話を聞いてあげる余裕が生まれるのではないだろうか。

そのためには、休むことに対して、学校側のスタンスを変えることが重要である。

まず、皆勤賞なんて必要ない。むしろ大人と同じように、年五日ほど自由に取れる休暇があってもいい。自分で休むタイミングを考えられることも大切な力だ。休む理由だって、体調不良である必要はない。家族旅行で休む子がいてもいい。平日にしか親が休めない家庭もあるのだから、周りがとやかく言うのもおかしい。