稲盛さんがやっていることはなんでも真似る

もうとにかく、真似ましたね。いろんなことを真似た。朝も早く行く。夜も遅くまで働く。それから、稲盛さんがやっている方法もまず真似る。どういうことを言っておられるか、それも真似る。もう真似ることが全然なくなったら、今度は学ぶ。稲盛さんの本も読んだりする。

社員にもとにかくずっと語りかけました。一緒にご飯も食べた。京セラも日本電産も、それは一緒でしたね。会社組織も学校もそうですけど、やっぱりよく似た考え方の人が集まると強い集団になるんですよ。

もちろん、いろんな意見の人が集まって、いろんなことを言うことも大事かもしれません。会社が大きくなってから、そうなるのはいいですよ。でも、小さいときにいろんな意見が合わずにやっていたら、成長しません。

だから僕は京セラを見ていてね、ああ、こういうふうにならないといけないなぁ、と。これも稲盛さんから学んだんです。

違った考え方の人を集めるほうがいいと言うが…

酒を飲みながら、社員に語ってね。ああいう場は、自分の考え方をみんなに広く強く植え付ける場だと思っている人がときどきいるんですけど、それは違うんです。みんな同志なんです。考え方はできるだけ一緒にして働かないといけないということなんです。

稲盛ライブラリー、講談社「稲盛和夫プロジェクト」共同チーム『熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間』(講談社)
稲盛ライブラリー+講談社「稲盛和夫プロジェクト」共同チーム『熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間』(講談社)

意見の差があって、あたかも自由闊達かったつでいいという場合もあるけれども、やはりゼロから会社をつくって大きくしていくには、そういう考え方でいったん固まらないといけないですね。

会社が立派になってきて、余裕ができたら、そこで初めて議論して、いろんな考え、違った考え方の人を迎える。今は、いろんな違った考え方の人を集めるほうがいいと言うけど、フラフラの会社で、それぞれの社員が違った考えを持っていたら、会社はつぶれてしまいますよ。

でも、いつまでも真似ていたのでは勝てない。だからアメーバ経営よりも、もっといい方法があるはずだ、と違う方法として事業所経営というのをやったわけです。最初は稲盛さんのやり方を学んでいたのですけれど、もっと優れた手法を編み出そうということで、新しい経営方法に取り組み、強力に攻めていったわけです。(後編に続く)

(聞き手・構成=上阪 徹)
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