「自分は人より運転がうまい」と考えるワケ

平均以上効果は、欧米では、倫理観、知性、忍耐力、魅力、健康、運転など、さまざまな面で実証されてきました。

日本では、欧米ほどはっきりした結果は見られないようです。

平均以上効果には、自己奉仕や自己高揚といった自己を肯定するバイアスが関係するとされています。しかしそれだけではなく、自己に焦点化した判断のプロセスも関係しているとも言われています。

つまり、自己に過度に注目することによって、他者と自己を比較し、「他者よりも優れている」と判断してしまうわけです。

イラスト=ナカオテッペイ

こうした自己評価の認知バイアスの中には、平均以上効果とは逆に、自分の特性や能力が平均的な他者より劣っていると考える「平均以下効果」というものもあります。

たとえば自分にとって専門性が高い領域のスキルには平均以上効果が見られ、低い領域のスキルには平均以下効果が見られることがあります。平均以下だと判断するのは、たとえ自己中心的に見たとしても、「自分の専門分野でなければ他者のスキルと十分に比較できない」からかもしれません。

自分はイケてるはず

このように、人は一般的に、自分の実力を過大評価しがちです。しかし、こうした傾向は、とくに実力不足の人に顕著に見られ、実際の成績と自己評価の間のギャップが大きいことが多いようです。この現象は、研究者の名前にちなんで「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。

心理学者のジャスティン・クルーガーとデイヴィッド・ダニングは、以下の実験を行いました。

まず、大学生の参加者に30個のジョークを提示し、それぞれのおもしろさについて評価してもらいます。そして、この参加者による評価結果を、プロのコメディアンの評価結果と比べることで、参加者のユーモアセンスを客観的に採点しました。その上で参加者に、自分のユーモアセンスは、同じ大学の平均的な学生と比較して、どの程度の位置にあると思うかを、0(一番下)から99(一番上)の範囲で自己評価するように求めました。

その結果、ユーモアセンスが全体の25%以下と採点された参加者は、ほかの参加者と比べて、自分のセンスを著しく過大評価していました。同様の結果は、論理的推論問題や文法問題などを用いた実験でも確認されています。