失敗であれ成功であれ、ある出来事が起きたときに、私たちはその原因を「○○のせい」と自分に都合よく解釈しがちです。“原因を都合よく取り違える”ことは誰にでも起こりうるもので、精神的健康ともかかわっていることがわかっています――。

※本稿は、『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

失敗の理由を自分以外に求める

仕事がうまくいったり、試験に合格したりすると、私たちは「自分ががんばったから」「自分が優秀だから」と考えがちです。

しかし、逆に仕事などでミスをしたときには、「自分ががんばらなかったから」「能力不足だったから」とはあまり考えません。むしろ、うまくいかなかったのは、「試験が難しかったから」「商談の相手が悪かったから」と考えるのではないでしょうか。

このように、成功の理由を能力や努力といった自分の内的要因に求め、失敗の理由を自分以外の他者や環境に求めることを「自己奉仕バイアス」と言います。

指をさして怒る人
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期待通りの結果は自分のおかげ

人は失敗より成功することを期待して行動します。そのため、成功したときには自分の期待通りなので「自分の能力(内的要因)のおかげ」と考え、失敗したときには期待に反するので「自分以外(外的要因)のせい」と考えます。

このように結果を捉えることが、このバイアスの原因とされています。また、成功したことを自分の貢献とすることにより、他者に対して自分のポジティブなイメージを示そうとする動機がかかわっているという説もあります。

自己奉仕バイアスは誰にでも起こりうるもので、精神的健康ともかかわっています。このバイアスがあるから、私たちは自尊心を失うことなく、心穏やかに、そして前向きに日々を送ることができている、という側面もあります。