厚生労働省によると、今年2月の生活保護受給者数が約209万人(約152万世帯)と過去最多を更新した。これに必要な今年度予算は約3兆7000億円と膨大。景気や雇用環境が改善しないなか、憲法25条が定めた“最低限度の生活を営む権利”への安易な駆け込みが問われている。

「2008年暮れの年越し派遣村を契機に申請者の意識が変わった。失業や傷病などで収入が途絶えた人たちに『とりあえず貰っておこう』という傾向が見られるようになり、3年半を経過したいまも申請者数は高止まりしている」と話すのは、東京都足立区中部福祉事務所の山杉正治所長。実際、同区の直近の生活保護費も420億円で、区民税収374億円を超す。受給者は約2万5000人で、都内23区では最も多い。

その背景には、保護内容の手厚さがある。例えば、足立区も含めた都内に住む30代の単身男性の場合、生活扶助8万3700円と住宅扶助5万3700円で合計13万7400円を毎月受け取れる。さらに、医療費は無料、水道料金も減免といった優遇措置もある。同じ額を稼ごうとすれば、都内の最低賃金並みの時給850円で1日8時間、20日働かなければならず、なおかつ税金や公的保険料を引かれる。これでは生活保護が減るはずもない。

このまま手をこまねいていれば、国のみならず、地域の活力も衰えていく一方だ。足立区では、新規受給者には3カ月以内の自立を支援しているというが、なかなか効果は出ないという。今後は、支給水準の見直しも視野に入れた、制度の運用が望まれる。