「紙おむつといえば赤ちゃん用」。こんな常識が覆りつつある。
日本衛生材料工業連合会は、数年以内に大人用紙おむつの生産量が乳幼児用の生産量を追い越す見込みだと発表した。もちろん原因は少子高齢化だ。
矢野経済研究所によれば、大人用紙おむつは年率約5%増が見込める成長市場。なかでも小売りのシェア50%以上を占める業界トップのユニ・チャームは、年率7%増の勢いで売り上げを伸ばしている。同社のヘルスケアSBU部長の木内悟氏は、「大人用紙おむつ市場は、あと20年は成長し続けるでしょう」と予測する。
「800万人以上いる団塊の世代が今65歳。実際に彼らが大人用紙おむつを使うのは75歳以降になるでしょうが、その年代の平均寿命はおよそ85歳。それまで、使用量が増加の一途をたどることは間違いない」(木内氏)
大人用紙おむつといっても種類はさまざま。男性の尿漏れに対応した「吸水下着」や、おむつの中のパットだけ交換すればいいもの、夜間のおむつ替えが不要で介護者の負担を減らすものなど、多彩な商品が開発されている。大事なのは本人の状態に合わせて商品を選ぶことだ。
「テープで留めるタイプのおむつはベッド上でほかの人に交換してもらう必要がありますが、パンツ型おむつなら多少体が不自由でも自分で取り換えることが可能です。できるだけ自分で交換することで尊厳も保たれ、回復も早まる。結果的に寝たきりを防ぐことにもなるのです」(木内氏)
今後の新商品開発にも注目したい。
(ライヴ・アート=図版作成)