東スポと「何か作れば面白いんじゃないかな」

「プロジェクトを立ち上げたといっても、ほんとに偶然が重なっただけです。何か新しいことをやろうとしてこの東スポ餃子を考え出したわけではありません。2021年3月末に希望退職者制度を始めて、それが6月まで続いたので、その年の上半期はとにかく目まぐるしい毎日だった。

それらが落ち着いた7月上旬に、都内の中華料理店で、生鮮食品や青果の仕入れ販売や流通を行っている有限会社戸田商事の鈴木英弘副社長と会食をしたときのことです。鈴木氏とは15年ほどのお付き合いがあり、折々会食をしてはお互いの近況を話す親しい間柄でした。戸田商事は商社でもあり、またM&Aも多く行い、現在は数十の法人が傘下にあります。

食事をしながら雑談をしていると、鈴木氏がポツリと一言。

『宇都宮で餃子を作っている大和フーズという食品メーカーが仲間に加わったんだけど……。東スポと何か仕掛けられないかな? 例えば餃子とか……。何か作れば面白いんじゃないかな……』

そう語ったのです。おそらく冗談半分でいったのだと思います。私もいつもなら大笑いをしてやり過ごすような些細な一言だったのですが、会社の状況も切羽詰まっていたこともあったのでしょう。その言葉を聞いた瞬間“ピン”ときました。何か脳天を突き抜けた感覚ですね。

『東スポ餃子……。これは面白い。やりましょう!』」

「新聞→競馬→ビール→餃子」のひらめき

「これがまさに『東スポ餃子』を始めるきっかけになりました。私の頭の中には、そこからすぐに『新聞→競馬→ビール→餃子』というイメージが浮かんだんです。思いつきというかひらめきですよ。

そこからは速攻でした。その場で鈴木氏に、

『鈴木さん、真剣にやります。私は本気ですから……』

といって握手した。そのとき私のいった、

『本気です』

というフレーズは、後々、販促用ポスターを作った際にキャッチフレーズに使用されました。すっかり本気になった私は会食の最中も4〜5回、

『本気です』

を繰り返していたと思います。それに鈴木氏も応じ、

『本当に真剣に進めるの? 分かりました。それでは次回、担当者を連れてくるので、将来的なことについて打ち合わせをしましょう……』

と、何だか話がとんとん拍子に進んでいったのです」