嘘をつくのは独立心の表れ

家族でルールを決めたのに、嘘をついて隠れて使っている場合はどうしたらいいでしょう。

「嘘をつく」というよりもむしろ「全部は言わない」のは個性形成の一部です。ティーンエージャーには、自分は独立した存在だと感じたいという欲求がありますから。

そもそも、それは大人の言う意味通りの「嘘」なのでしょうか? 子どもが親に本当のことを言わないのは、おそらく親の反応を恐れているからでしょう。親に怒ってほしくないのです。

「うん、わかってる」は、「僕のことはかまわなくていいよ」という意味で、実際には「タブレットを隠し持っているよ」です。子どもは自分の望むことをしたいばかりでなく、親を喜ばせたいとも思っています。

これは私たちの目には矛盾と映りますが、彼らにとってはそうではありません。

アドバイス
もしわが子が本当のことを言ったとしたら、自分の行動に責任を持たせて試したり、失敗を経験することで学ばせたりしますか? それとも制限を設けたり、禁止したり、怒ったり、恥ずかしい思いをさせたり、決めつけたりしますか?
親が平常心を保つようにすれば、子どもは本当のことを話してくれるようになります。ですから、子どもが「本当は違う」と思いつつ、「うん、わかってるから大丈夫」としか答えられないような質問をするより、子どもと一緒に決めたルールを口に出して、思い出させましょう。あるいは、キーワードだけを使って、わが子が脳の前頭前野を働かせられるよう呼びかけましょう。例えば、この場面では、子どもに「タブレット」と一言だけ呼びかけるといいですね。

道理にかなった公平なルールは守る

意外に思われるかもしれませんが、ティーンエージャーは多くのルールを守ります──自分の所属する集団や参加しているグループのルールを。

イザベル・フィリオザ『12~17歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)
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ルールは帰属意識を与えてくれるし、グループの活動や調和に役立つからです。ティーンエージャーに聞くと、道理にかなっていて公平で適切なルールなら、きちんと守ると言います。つまり、グループの活動と発展を可能にし、調節し、促進するのはルールなのです。

私たち親は制限あるいは禁止するもの、つまりコントロールしようとする試みをルールと呼んでしまうことがあります。そうすると、もちろん子どもは尊重しません。反対に違反したり、抵抗したりします。いつの時代も、思春期の子どもたちは限界を押しのけ、既成の秩序に疑問を抱き、探検に出かけたものです。この衝動のおかげで、人類は地球上に散らばり、広がっていったのです。