たとえば、注文した後に顧客が次に何を頼もうかとメニューを見ていると、もう「届きました」とアナウンスが流れて注文したネタがレーンに届きます。新宿などの都市型店舗では席数が200席を超えるにもかかわらず、オーダーしてからのスピードが速く注文した皿が直ぐに届くようになっています。

その秘密は、スシローが独自開発した「引き込みレーン」にあります。これは注文品の専用レーンからそれぞれの顧客テーブルに枝分かれして寿司が届く仕組みで、これにより専用レーンが込み合うことなく次々に寿司を流すことが可能になりました。

また、顧客テーブルに最短ルートで届けられるよう、専用レーンを所々ショートカットして皿が複雑に移動していくような仕組みに改善しました。これにより、厨房から流された寿司が逆方向に進む専用レーンに進路変更して、顧客のテーブルまで最小時間で注文皿が届けられるようになったのです。

席に着くまで、店員と接触することがない

3つ目の戦略は、「無人化による店内誘導」の確立です。店内での顧客案内は全て機械による自動化が取られています。すなわち、無人化による非接触を徹底しているのです。

まず、顧客が店舗に入り正面に設置された機械に予約番号を入れると、機械が「プリンターの案内札をお取りになって、○○番の座席にお進みください」とアナウンスします。それと同時に、「○○番のテーブル席にお進みください」とプリントされた案内札がプリンターから出力されます。顧客はこれに従って店員と非接触でテーブルに進むことができます。

また、会計やテイクアウトも定員と接触しなくて済むようになっています。支払いは店内に設置されたセルフレジで済ませることができるし、お持ち帰りの寿司も厨房の裏にあるテイクアウト注文用のロッカー(冷蔵ボックス)に店員が入れた後、反対側の扉から顧客が取り出せるようになっています。こうした店内の自動化もまた、コロナ禍の顧客をつかむ戦略として機能しているのです。

待ち時間を解消し、業界トップの売上高を叩き出した

その他にも、スシローはコロナ禍での顧客の不安を解消する施策を展開しています。すなわち、「来店予約システムの導入」です。これは、「スシローには行きたいが入り口で長時間待つのは密になるため避けたい」という多くの顧客が抱える不安を一気に解消することになりました。

来店予約システムでは、顧客がスシローのスマホアプリやLINEアカウントで座席を予約すると、座席に案内される時刻を提示してくれます。顧客は指定された時刻に来店すれば入り口で待たずに食事を楽しむことができます。