怒りと悲しみをコントロールする取扱説明書をつくる

では、自分の取扱説明書をつくるとは、具体的になにをすればいいのだろう? 1ページめには、なにを書けばいいのか? 巨大な1ページめは、これしかない。「アンガーマネジメント」と「ダウンマネジメント」だ。

自分の取扱説明書をつくるうえで、まず最初に考えるべきで、もっとも重要なのは、「アンガーマネジメント(=怒りをコントロールすること)」と「ダウンマネジメント(=悲しみをコントロールすること)」だ。

仕事をしていると、どうしても怒りや悲しみに出くわすことがある。きっかけは、些細なものから大きなものまである。たとえば、怒りなら、自分が評価されないことに苛立ったり、上司の意見に納得できず不信感をもったり、仕事の頼まれ方に対して理不尽に感じたり、といったことだ。あるいは、悲しみなら、ミスをして落ち込むこともあるだろうし、自分の価値を信じられず、涙が出るときもあるかもしれない。

完璧に防ぐのではなく、長引かせないことが重要

アンガーマネジメントとダウンマネジメントにおいて重要なのは、怒りや悲しみを「完璧に防ごうとする」のではなく、「長引かせないこと」である。

というのも、怒りや悲しみは、根本的には生物としての生理的反応であるから、これを完璧にゼロにすることは、機械になることとほぼ同義であり、不可能に近い。もちろん、働くうえで、感情を出しすぎるのはよくないが、それを完璧に防ぐことは心身の健康によくない。

やるべきことは、怒りや悲しみを「ズルズルと長引かせないこと」。この1点のみである。怒りや悲しみを、できる限り最短で処理して、気もちを切り替える。これしかない。

では、どうすればいいか? それは、「そうなったとき、まずどうするか?」を、「事前に」決めておくことだ。たとえば、こんなことだ。

○アンガーマネジメント例
・どんなに怒っても、その場で相手にぶつけることはせず、一旦我慢して家にもち帰る。ゆっくり寝て、怒りがなくなればいいし、つぎの日も同じ怒りが続くなら、冷静に理論武装してから反論する。
・怒りの内容を、社内情報共有ツールなどで、自分宛てにDM(=ダイレクトメッセージ)を送る。そうすれば、ほかの人を巻き込まずに怒っている自分を客観視できるから、後戻りできない状況になりにくい。それに、レジリエンス(=抵抗力・回復力)が高まる。
○ダウンマネジメント例
・まずは、ゆっくり体を休める。つぎに、マンガや小説、アニメや映画など、別の世界にどっぷり浸って心を休める。回復するまで、それを続ける。
・とりあえずノートパソコンを一旦閉じる。そのうえで、ビルの階段を上り下りして、気を紛らわす。