「人助け」という視点でポートフォリオを組む

図表1のような4段階のプロセスは、単なる過去の歩みではなく、①以外は現在も継続中です。

現時点の山投資の比率で考えてみると、①の「戸建てとセットで買う」というケースはほぼなくなっていますが、②の「1円で山を買う」は現在も継続中で、これが7割くらいを占めます。

③の「電柱敷地料をもらう」が2割前後で、④の「お金をもらって山を引き取る」が1割といったところです。

この比率は理想的というか、僕が「こうありたい」と考えている割合になっていますし、なるべくこの比率を維持したいという思いもあります。

自分の利益だけを徹底的に追求するならば、④の「お金をもらって山を引き取る」が大半を占めてもおかしくありませんが、自分のためだけでなく、「人のため」とか「人助け」という視点で考えると、現在のような割合が最もそれに近いということです。

ウッドショックが山投資に与える影響

2020年に世界的な規模で巻き起こった「ウッドショック」は、今後の山投資に与える影響が極めて大きいと考えています。

ウッドショックとは、建築用木材などの不足によって、木材関連の価格が高騰した社会問題のことで、1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえて、こう呼ばれています。

日本でも連日のようにニュースで報じられていたので、ご存知の方も多いでしょうが、「木材の輸入量が不足する」に始まって「予定通りに木材が仕入れられずに住宅建築が延期になった」、「どこそこの林業地が増産に入った」、「国有林を扱う森林管理局が木材生産の入札を前倒しで実施した」など、様々な情報が飛び交ったことは記憶に新しいところです。

この現象は2020年に限った話ではなく、日本でも近い将来に木材の価格が現在の10倍とか100倍に跳ね上がる可能性があります。

木材の価格が高騰すれば、山の価格に影響が出ることは避けられません。そうなると、山の価格が異常に上がるだけでなく、結果として山の売買そのものが停止になるという事態も予想されるのです。

国土利用計画法では、地価が急激に上昇するとか、その可能性がある場合、都道府県知事や政令指定都市の長はその地域を「注視区域」とか「監視区域」に指定することで、適正な土地利用を確保することができる……と決められています。

つまり、山の価格が高騰すれば、注視区域や監視区域に指定されることによって、売買そのものが難しくなってしまうということです。