ゲームは我慢させないほうが勉強に向かう

――では、皆さんは、どうやってゲームの時間と折り合いをつけ、勉強に励むことができたのですか?

修士課程1年生 小山このかさん
修士課程1年生 小山このかさん/幼稚園の時、キッズコンピュータピコとたまごっちでゲームデビュー。小学校からはパソコンを使い始め、勉強にもゲームをフル活用。英語と世界史はゲームのおかげで得点源に。父親もゲーム好き。

【小山】小学生、中学生の頃はなかなかできなかったのですが、高校に入ってからはさすがに勉強しないといけないって思うようになりました。そこで、自分で勉強部屋にはゲームを持ち込まないというルールを決めました。

ゲームは何時間までとは決めずに、好きなだけやります。でも、寝る前に「今日はどのくらいやったかな」ってふり返って、やりすぎたと思ったら、自分で調整するようにしました。

【教養学部1年・岡本準一さん(以下、岡本)】僕もゲームをする場所は決まっていました。もともと僕の家庭では、食事のときは食事に集中、寝るのは寝室、勉強は塾の自習室、ゲームは父の部屋という具合に、場所ごとにやることがはっきり区切られていたんです。場所によって気持ちが切り替わるので、ゲームをやりすぎるということはありませんでした。

教養学部1年生 岡本準一さん
教養学部1年生 岡本準一さん(写真は実家の本棚)/6歳の時、父から借りたニンテンドーDSLiteでドラクエに、小学3年生からはPSPでモンスターハンターの虜に。週末に父とゲームをしたのが良い思い出。ゲームの世界観を反映した本をきっかけに読書家になった。

【中村】僕は、とにかくゲームを全力で楽しみたかったので、そのために宿題とかやるべきことを全部片づけてからやるようにしていました。

ゲームをやっているときに「まだ宿題をやってないな」と思うと、心の底から楽しむことができないので。先に宿題を終わらせてからゲームをするようになったら、学業的なことも崩壊せずにできるようになりました。

【高】わかる。どうせ遊ぶなら、集中して全力で遊んだほうが満足して勉強をする気になると思います。僕は普段、プロジェクターで映し出して3mの大画面にして、スピーカーも使って、ゲームの世界に没入して遊んでいます。

ゲーム時間を短くするために攻略を手伝う

――ゲームをご褒美的に使って勉強のモチベーションにするんですね。でも、現実には宿題を優先させると後のお楽しみであるゲームに気がとられ、勉強が雑になってしまう子もいると思います。時間制限を設けたい場合はどうするといいでしょう?

【高】僕は自分で決めた時間が来ると、強制的にプロジェクターの電源が落ちるように、コンセントのオン・オフを時間帯ごとに設定可能なスマートプラグを使っています

大画面で世界に入って集中してプレーしている時に、一気に部屋が真っ暗になると興ざめします。電源を入れ直せばまたプレーできるのですが、これでもまだ続けるか、それとも寝るのかを考える時間を意図的につくっています。消えるのはディスプレーだけでデータは残るので、気楽に止められるおすすめです。

【小山】私はクリアしたときに見られるボーナスシーンが見たい一心でプレーしていたんです。だからクリアするまで止められないと言ったら、親が代わりにプレーしてくれました。父がレベルアップし、私はボーナスシーンだけ見るという役割分担にしたら、「じゃあ勉強するか」という気持ちになったんです。

いまはユーチューブでアップされているボーナスシーンや攻略法を見せるのも、時間短縮になるのでおすすめです。

――自分でクリアしなくても、ボーナスシーンが見られればいいんですか?

【小山】はい、私は自力でやらなくても、ボーナスシーンが見られればいいタイプなんです。

【高】僕は自力でやりたいんですが、ある時、友達がチートコード(改造コード)を使って、僕のポケモンを勝手にレベル100にしたことがあって、急にゲームに冷めたことがありました。

少しずつ育てて、「やった、レベル30になった」って喜んでいたのに、努力もせずに100になっちゃって。大好きで夢中になっていたゲームが、ただのコードの配列にすぎず、書き換え可能なものであるという仕組みが見えてしまったんです。結果的にしばらくゲームをやらなくなりましたが、そのことについてはいまだに恨みに思っています。

【岡本】ゲームの終わらせ方でいうと、僕の父はとてもうまかったです。一緒にゲームをしてくれて、思いっきり楽しんできりのよいところで、「疲れたなぁ」「そろそろやめるか」という感じで声をかけてくれました。一緒に遊んでもらえたという納得感があったので、いつも気持ちよくゲームを終えられましたね。

――なるほど、親が子どもとゲームの楽しさを共有して、子どもが納得してゲームをおしまいにできるのは理想的ですね。