ローソンストア100で6月末から販売している「ウインナー弁当」(税抜き200円)が同社の弁当史を塗り替えるホームラン級の売り上げを記録している。生みの親である同社運営部長の林弘昭さん(42)に舞台裏を聞くと、そのシンプルな見た目からは想像がつかない商品開発の苦労と、同社ならではの販売戦略が見えてきた――。

メインになれない具材、ウインナーを主役に

ゴマのかかった白いご飯と、きれいに並んだ5本のウインナー。「超シンプルで潔い」「カップ麺だけだとなぁって時に買いたい」。発売当日からSNSをにぎわせた弁当が誕生したきっかけは「なんで世の中にはウインナーがメインの弁当がないのだろう」という林さんの素朴な疑問だった。

5本のウインナーが並ぶ「ウインナー弁当」
撮影=西田香織
5本のウインナーが並ぶ「ウインナー弁当」

2002年、前身の「九九プラス」に入社した林さんは、これまで一貫して運営畑を歩んできた。各店の売り上げを最大化するのが林さんの仕事だ。商品の売れ行きや客の行動を現場でつぶさに観察しながら、店長やオーナーと店舗運営について日々作戦を練っている。

製品開発は本業ではないが、林さんの熱意からこれまでいくつも人気商品を世に送り出している。代表作の一つは「たくわんマヨロール」(現在は終売)。細切りのたくあんとマヨネーズを和えてコッペパンにはさんだ惣菜パンで、滋賀県のご当地パン「サラダパン」から着想を得たという。

「家庭の弁当にもコンビニの弁当にもウインナーは入っていますが、絶対にメインになれない具材だったんです。それをあえて際立たせたら面白いんじゃないかと」

林さんがウインナー弁当というアイデアを思いついたのは、今から約10年前のこと。脳裏に浮かんだのは、パック売りの白米を半分に寄せて、空いたスペースにウインナーを詰めた弁当だった。競合他社にそんな商品はない。「初めてやればお客さんがびっくりするはず。ローソンなど他のコンビニと同じことをやっていてもだめだと思っていました」と振り返る。

ウインナーを唯一の主役に据えるという発想には、自身の嗜好も多分に影響しているのだろう。球児だった高校生時代、母親が作ってくれた弁当でウインナーは常連のおかずだった。現在も、妻と娘の3人暮らしの冷蔵庫には必ず袋入りウインナーが常備されており、「日曜の朝ごはんには大体出てきますし、夜ご飯を食べている途中にちょっとおかずが足りない時には自分で炒めて食べちゃいます」と、はにかみながら明かす。

林弘昭さん。1978年生まれ。2002年に大学を卒業し、九九プラス(現ローソンストア100)に入社。店長やエリアマネジャーなどを経て17年に関東第二運営部部長。店舗運営やフランチャイズコンサルタントに携わる。
撮影=西田香織
林弘昭さん。1978年生まれ。2002年に大学を卒業し、九九プラス(現ローソンストア100)に入社。店長やエリアマネジャーなどを経て17年に関東第二運営部部長。店舗運営やフランチャイズコンサルタントに携わる。