キーボードに灰皿を載せてPCの稼働時間を偽装

私の会社は、2020年の4月までは時間管理で残業代が発生していたため、キーボードに灰皿を載せてPCの稼働時間を偽装していましたが、今は固定残業代の裁量労働制に移行しました。

PCに灰皿を載せ、PCの稼働時間を大幅に捏造。
PCに灰皿を載せ、PCの稼働時間を大幅に捏造。

「このような電子機器を利用した不正行為については、電子計算機使用詐欺罪もあります。この場合、人を騙す行為がなくても詐欺罪になるのですが、何がしかの意味がある“電磁的な記録”を作り出すのではなく、灰皿を置いてコンピューターが“稼働している状態”を作り出すだけであれば、電子計算機使用詐欺罪にも該当しないと考えられます。また仮に、何らかの刑事犯罪に該当すると考えられる場合でも、告訴するメリットとデメリットを考えれば、このような事案で企業が告訴することは考えがたいところです」

前科者になる可能性はまずないということで安心しました。しかし、民事で会社から賠償を請求されることは十分にあるのではないでしょうか。万が一、私の悪行がバレてしまったら、どうなってしまうのでしょうか。

勤務時間中に訪れたサウナ上がりに飲酒しながらメシ。
勤務時間中に訪れたサウナ上がりに飲酒しながらメシ。

「民法上の不法行為や忠実義務・職務専念義務違反などの債務不履行行為により、会社に損害を与えたとして、その賠償請求がされることが考えられます。また、服務規律違反として、出勤停止、諭旨退職、懲戒解雇など懲戒処分の適用や、退職金が減額・不支給とされることも考えられます。ただし、それらは、会社の諸規程のもとに、種々の事情を踏まえて慎重に行う必要があります。なお損害賠償については、退職金との合意相殺が考えられるのか、それとも退職金も払われないとして別途賠償請求がされるのか、そして賠償の有無をどの程度懲戒に反映させるかなど、会社としてもいろいろな事情を慎重に考慮するのが通常です」

たしかに私の行為は業務外の行動であることは明白。でも一応、ウーバーイーツなどをやりながらでも、チャットで会議に参加しているのですが……。

「WEB会議に参加しながらであれば、会社として違反行為を正確に把握するのは容易ではないかもしれません。その場合、仮に解雇処分を考えるにしても、一方的な懲戒解雇ではなく、退職勧奨による自己都合退職や諭旨解雇(退職)にすることが考えられます。争いを避けるために、会社側が一定の金銭を払って、退職に同意させるという場合もあります」