東日本大震災の被災者に対する、企業からの支援が多く見られる。日本経団連によると、発生から5日後の3月16日までに、170社が約200億円の義援金提供を表明しているという。その後も支援を発表する企業が相次ぐ。これは、経営の現場で取り組まれてきたCSR活動のひとつの成果といえよう。

「東日本大震災」企業・個人の義捐金(例)
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「東日本大震災」企業・個人の義捐金(例)

CSRを含め、企業の組織活性化をサポートしてきたクレイグ・コンサルティング代表の小河光生氏はいう。「日本にはもともと売り手・買い手・世間の“三方よし”という商いの心構えがあり、とくに新しい動きではない。ただ、CSR元年といわれた2003年以降、それが経営戦略と一体化し、専門組織の設置が進んだ。今回の震災では発生の翌日・翌々日に支援を発表した企業も多い。スピーディな意思決定の裏には、平時からCSR委員会がうまく運営されていたことがある」。

たとえば、ソニーグループは義援金に加え、自社製ラジオ3万台を送った。資生堂も義援金と、水のいらないシャンプーや薬用ハンドソープを提供している。小河氏はこれを“顔の見えるCSR”と呼ぶ。その企業だからこそできる支援は被災者の心に残り、ブランドイメージの向上にもつながる。

起きないに越したことはないが、自然災害は未然に防ぐことができない。小河氏は「企業にとって地域社会は重要なステークホルダーの1つ。いま発表していない準大手や中堅でも、支援したいと考えている企業は多いのでは」と話す。日本人のDNAと結びつき、企業・個人による支援活動は今後も広がっていくだろう。