「延命か挑戦か」を選択する時期にきている

しかし、平成の時代に入ると、地殻変動にも等しい経済や産業の構造変化が起こり、想定外の外部環境の変化に対して調整文化の組織が不適合を起こし始めました。もう今までのような延命治療が効かなくなったのです。そうなると、たとえば自社が長年やってきた事業であっても、すでに世の中がそれを必要としなくなってきているとしたら、早急に見切りをつけて新たな事業分野に踏み出さなくてはなりません。つまり、新陳代謝が不可欠なのです。

柴田昌治『なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」』(日本経済新聞出版)
柴田昌治『なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」』(日本経済新聞出版)

しかし、わずかな例外を除いた多くの日本企業が、平成の時代を通じてズルズルと延命治療を続けた結果、市場からも将来価値に疑問符をつけられ、大きく企業価値と社会的地位を失墜しています。

新陳代謝が不可欠であるにもかかわらず、調整文化の代名詞である延命治療を続けてきた結果、生じている時代との不適合。今の企業の業績不振と経済の深刻な事態は、日本企業が抱える調整文化がもたらしている最大の弊害です。

変動、不確実、複雑、曖昧という4つの要素が絡み合った「VUCA」の時代に入ってもなお、これまでのような安定重視の現状維持路線を守り続けるのか、それとも時代に合わない文化から脱皮して、事実・実態重視の価値観を持つ挑戦の文化を獲得するのか。日本企業はこの選択を避けて通れないステージに立っているのです。

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