インスタ映えに対する2つのアンチテーゼ

前節で述べたとおり、ネット上の仮想社会に生きる人たちにとってのハロウィンは、現実社会の中のインスタ映えするキラキラした一場面を巧妙に切り取るという創作活動のための素材です。インスタ映えするコンテンツ素材であるハロウィンは、自分のアカウントをフォローしてくれる大切なネット上の他者たちに向けて、リアルな自分より少しだけ良い自分をプロデュースするための好機なのです。

しかしながら、このように仮想社会でキラキラした自分をプロデュースするために現実社会で仮装するということを定立とする、反定立とも言いうる現象も、ハロウィンの日に観察されています。それは、「ゴミ清掃ボランティア」と、「地味ハロウィン」です。

「地味ハロウィン」は「第2回」に先送りし、ここから先は「ゴミ清掃ボランティア」について考えていきましょう。

ハロウィンのゴミ清掃ボランティア

ハロウィンの夜、派手な仮装に身を包んだ大勢の人たちが渋谷で大騒ぎをし、インスタグラムにキラキラした自分をアップロードするのに対して、彼らが路上に捨てるゴミを憂慮して、その問題をツイッターで議論してきた人たちがいます。

そのようなツイートの発信者や閲覧者の一部は、ゴミ清掃ボランティアとして渋谷に出動し、大量のゴミを路上に巻き散らす仮装者たちのすぐ傍で、清掃作業を行っています。

確かに、ハロウィンで盛り上がった渋谷の街には、ここは本当に高いモラルを誇ると言われる日本という国の光景なのかと驚愕するほど、汚らしい大量のゴミが、路上に捨てられてしまっています。

しかも、近所に住む子供たちなのでしょうか、小さな子供たちが、あくる日にそのゴミを片付けて、道をきれいにしようとしています。オトナのバカ騒ぎによって汚れた街の光景や、その汚れた街をきれいにしようとする子供たちの姿を知れば、これではいけないと多くの人が思うはずです。

思うだけでなく、行動に移す人たちもいます。それが、清掃ボランティアたちです。黙々とゴミをトングでつまんでは持参した袋に入れ込む清掃者もいれば、大型のごみ箱を持ち込んで拡声器で「ゴミはこちらにお願いします」と、あたかもイベント主催者としてハロウィン期間中の街を管理しているかのような清掃者もいます。また、自らも清掃行為にちなんだ仮装を身にまとい、ハロウィン仮装に参加しつつ楽しみながら掃除を行う清掃者もいます。思い思いのスタイルです。