ZOZO買収で国内ECトップを目指すヤフー

9月12日、ソフトバンク傘下のヤフーは、衣料品通販サイトの「ゾゾタウン」を運営する株式ゾゾ(以下、ZOZO)を約4000億円で買収すると発表した。ヤフーは、今回の買収でECビジネスを強化し、同分野で国内トップの地位を手に入れたいと考えているのだろう。一方、ZOZOは、創業者である前澤友作氏の言葉を引用すると、現体制よりもヤフー傘下に入ったほうがより成長できるとの判断に至ったとのことだ。

写真=時事通信フォト
ヤフーによるZOZO(ゾゾ)買収についての記者会見にゲストとして登場したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(左)。右はZOZO創業者の前澤友作氏=2019年9月12日、東京都目黒区

今後の注目点としては、巨額買収が想定通りの成果をもたらすことができるかだ。多くの課題があるが、中でも最も重要と考えられるのは、ヤフーがZOZOと自社の組織・経営風土をうまく調和させ、組織全体を一つにまとめることができるか否かだ。

近年のヤフーの経営陣には、かなり“焦り”が感じられる。ヤフーは、アスクルの社長再任などに反対し両社の関係がこじれた。そうしたやや強引といえるやり方を選択するほど、ヤフー内部には「早く成長を実現させなければ」との差し迫った認識が広まっているように感じる。ヤフーがZOZO買収を成長につなげるには、はやる気持ちを抑え、ていねいに組織をまとめていく姿勢が必要になりそうだ。