アベノミクスは成功してはいない

日本記者クラブ(東京・内幸町)で、3日に行われた党首討論会で安倍首相が記者が質問もしていないのに一方的にしゃべりまくるところなど、「1強」の驕りがそのまま出ていた。安倍首相を支持する一部のマスコミや支持者は、そんな安倍首相に拍手喝采するのだろう。

これではアメリカのトランプ氏とその支持者層との関係とまったく同じだ。ポピュリズムそのものではないかと沙鴎一歩は不安になる。

読売新聞の社説(7月4日付)は「きょう公示 中長期の政策課題に向き合え」との見出しを掲げてこう書き出す。

「深刻な人口減少にどう向き合い、国力を維持するか。不安定な東アジア情勢への対処も問われよう。与野党は現実を直視し、建設的な政策論争を展開しなければならない」

読売社説の性格上、のっけから安倍政権を擁護するのかと思いきや、かなり客観的である。しかも参院選の大きな争点を把握して具体的に主張していこうとの意思が表れている。

「憲法を論議する政党と、拒む政党のどちらか」

「安倍首相は『380万人の新しい雇用が生まれて、正規雇用の有効求人倍率は1倍を超えた』と述べ、アベノミクスの成果を強調した」
「企業業績や雇用が改善し、景気は緩やかに回復を続けているが、デフレから完全に脱却したとは言えない。企業収益を賃上げにつなげ、消費を増やしていく経済の好循環を実現するには、政策を補強する必要がある」

読売社説は「デフレから脱却していない」「政策の補強を求める」ときちんと安倍政権を批判している。これこそ新聞の社説である。ただし、最後に読売社説らしさが顔を出している。

「衆参両院の憲法審査会の機能不全が続く。首相は憲法を論議する政党と、拒む政党のどちらを選ぶかを参院選で問いたいとする」
「野党は、憲法改正手続きを定める国民投票法改正案の審議を求めたが、与党が拒んだ、と反論している。憲法本体の議論を先送りする理由とは言えない」

「議論を先送りする理由とは言えない」と野党を断罪するが、これでは安倍首相を驕り高ぶらせるだけである。刺激のある調味料を添加した言い方があるのではないか。

それができないのは、保守層の読者に迎合しようする姿勢があるからだろう。

(写真=時事通信フォト)
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