スイーツでも「後追い戦略」を展開

かっぱ寿司はスイーツも強化している。手始めとして、昨年8月に、老舗スイーツ店「銀座 立田野」とコラボしてプリンとわらび餅を期間限定で販売。同年12月には、産地や素材にこだわった「リッチスイーツシリーズ」の展開を始め、第1弾として徳川幕府の御用茶とも言われている「本山茶」を使ったケーキを期間限定で売り出した。

第2弾は、有名パティスリーのショコラティエが監修した「ガトーショコラ」を2月から、「ふんわりショコラチーズケーキ」を3月からそれぞれ数量限定で発売している。一方で流行も取り入れ、今年5月15日からは、タピオカドリンクやティラミスを期間限定で販売している。

かっぱ寿司のガトーショコラ(プレスリリースより)

回転ずしチェーンでのスイーツといえば、スシローが注力しているジャンルだ。17年11月にスイーツ強化の取り組みとして「スシローカフェ部」を発足。昨年7月には、若者に人気の東京・表参道通り沿いにカフェ「スシローカフェ部 表参道スイーツテラス」を10日間限定で営業し、パンケーキなど各種スイーツを販売した。「スシロー=スイーツ」のイメージをアピールするとともに、そこで得たノウハウやメニューを、回転ずし店で販売するスイーツに移植してきた。

かっぱ寿司のスイーツ戦略も、ラーメン同様、先行する競合を後追いしているように見える。しかし、繰り返しになるが、これも立派な戦略だ。

各種施策はいまだ道半ば

こうした施策により、やっと前年同期超えを達成したかっぱ寿司だが、まだ手放しで喜べる状況ではない。客数は前年同期比2.7%減と、依然としてマイナスだ。また、5月9日発表の18年度連結売上高は前年度比3.3%減の761億円と減収となっている。

さらに、従来予想では前年度比3.6%増の815億円と増収としていたが、決算発表前日の8日、各種施策が当初想定した水準に達しなかったことを理由に18年度業績見通しの下方修正を発表している。同社としては、各種施策が完全に成功したとは言えないのだろう。

まだ課題は残されているが、すしは確実においしくなった。それをしっかり伝えていけば、いずれ完全復活できるだろう。今期でのV字回復は十分ありえるし、それを期待したい。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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