「風邪や中耳炎といった一般的な病気であれば、厚生労働省や各学会が発行するガイドラインに沿った治療法が取られるので、医師によって腕の違いはさほど出ません」

だからこそコミュニケーションをしっかり取って家族を安心させてくれる医師のほうがよいという意見だ。また糖尿病のように長く病気と付き合う必要がある場合も、丁寧に会話をしてくれる医師のほうが患者の満足度は高く、治療効果も出やすいという。

さらに裵氏は医師の診断する姿勢は、ある話し方で見抜けるとも教えてくれた。

「『患者さんが治るように私が手助けします』のように患者さんを主語にして話す医師は、患者さん主体で治療方針を考える傾向にあります。一方で医師自身や病院を主語にする姿勢の医師は頼れない」

一方で、ありふれた病気や慢性的な病気と違って、緊急を要するガンの手術などでは、医師によって手術のうまい下手に大きな差が出るので、やはり腕のよさで選ぶべきだと裵氏は助言する。その際の基準の1つとして「臨床指標」が参考になるという。臨床指標は手術の症例数、成功率と合併症の少なさのことをさす。症例数は経験値の高さを示し、成功率と合併症の多少はその病院と医師の実力をあらわす。だがむやみに信じてはいけないと裵氏は注意を促す。

「人口の少ない地方の病院は症例数が少なくなりますが、名医がいないわけではない。また成功率が高いといっても簡単な手術ばかり手掛けているかもしれない。本当の名医は困難な手術が大半で、当然、成功率は低くなりがちです」

手術の中身まで見て、どのくらいの成功率であるかを調べなければ、正しい名医選びはできないということだ。

また数値を公表していない場合には、担当の医師がメジャー18学会に所属する専門医であるかも判断基準の1つになるという。認定専門医であれば最新の技術や情報に意欲的にアクセスしていると考えられるからだ。

正しい情報を知ることで、病院を見る目を養う力が試されている。

裵 英洙
ハイズ代表
慶應義塾大学特任教授。金沢大学医学部卒。厚生労働省「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」構成員。
 

千葉敏雄
早稲田大学理工学術院、昭和大学医学部客員教授
東北大学医学部卒。胎児・小児外科医。8K内視鏡を事業化するカイロスの会長を務める。
 
(写真=iStock.com)
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