年齢を重ねると増えてくる体の変調。突然のそのとき、どこの病院に行き、どんな医師を訪ねるべきなのか。9つのポイントで検証した。第1回は「技術が高いvs相性がいい」――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです

Q:技術が高いVS相性がいい
A:医師に「ご家族ならどうされますか?」と聞いてみよう

医師は病院、かかりつけ医をどうやって探すか

手術などの技術力が高い医師と患者とのコミュニケーション能力が高い相性のいい医師。自分や家族が病気になったとき頼りにするべきはどちらなのか。小児外科が専門で、海外での勤務経験も長い千葉敏雄医師は、自身で病院や医師を選ぶ際、かかりつけ医にこんな質問をするという。

写真=iStock.com/RomoloTavani

「あなたの家族がこの病気になったらどの医師に診てもらいたいですか? その医師はどの病院にいますか」

医師にほかのよい医師を紹介してとお願いするのは少し気が引けるが、千葉氏は患者の最も切実な関心事項である「病気が治る」ことを優先する医師であれば、むしろ率直に尋ねたほうがいいと話す。

千葉氏は米国の病院に勤務した体験から、日本と海外の医師が取るコミュニケーションの違いをこう説明する。

「米国の医師は、病名と治療しなかったときのリスク、それから治療方法と治る確率が中心のシンプルなコミュニケーションを取ります。じっくり時間をかけて患者さんと話すのはむしろ、ソーシャルワーカーやベテランナース。また、医師が出す患者さんカルテの指示内容に、もし不十分な点があれば、薬剤師や栄養士などがチーム内の専門の立場から、率直に指摘してくれる。チームの意見を受け入れ、学んでいく姿勢が高い医師が腕を上げていく環境でした」

結局のところコミュニケーション能力が高い医師が腕・実績を上げ、優れた医師になってゆくというのだ。

対して日本では医師が患者とのコミュニケーション全般を担う。近年では大学の授業も知識や技術一辺倒ではなくなってきているという。

「医学部の授業で患者さんの話を聞き出すコミュニケーションの講義が入るようになりました。そこが診断の入り口になりますから」と語るのは、外科医・病理医の裵英洙氏だ。医療教育の場でもコミュニケーション能力は重要視されてきているという。裵氏の場合、家族が病気になったときは病気の種類によって医師の選び方を変えるという。