改装を依頼する業者の選定にもポイントが。業者にも「原状回復」グレード、「リフォーム」グレード、「リノベ」グレードの3つがあると考えてください。「リフォーム」「リノベ」の業者は全国展開している大手企業中心で、予算500万~1000万円の高価な工事をしたがります。一方、「原状回復」の業者は地元密着型。30万円からの予算で頑張ってくれます。結論として、予算200万~300万円で「リフォーム」グレードの修繕であっても「原状回復」グレードの業者にお願いするのがおすすめです。電話帳をめくり、地元の業者を探しましょう。できるだけ小さい広告、できれば会社名と電話番号だけを載せている会社が望ましい。これで工事にかかる「人件費」の部分がかなり抑えられます。さらに工事にかかる「モノの値段」も抑えます。業者に「施主支給」ができないか、相談するのです。「施主支給」とは、シャワートイレやカメラ付きドアホンなどの設備を自分で購入し、改装業者に依頼するのは設置工事のみというやり方です。これで、業者を通すより大幅に安くモノを購入できます。商品は店頭やモデルルームを見に行ってもいいのですが、購入はインターネットのサイトで安いものを探せばリーズナブルに購入できます。なお、不動産業者、改装業者とも複数に会って、相見積もりをとりましょう。業者との相性を見極める意味もありますが、「予算を抑えたいなら、水回りをいじってはいけない」等のプロからのアドバイスをいろいろと受けることができます。

同じ物件を「賃貸」に出すなら、さらにケチります。改装は「原状回復」のみ。賃貸物件に期待されているのは第一にコスパ。コストをかけるよりは家賃を下げたほうが喜ばれます。ですからキッチンは安い仕様にします。売却するにしても「最低限」のベーシックな設備が整っていればいいと僕は考えています。システムキッチンは必須だけど、IHコンロは予算に余裕があればつける、食洗機までは不要。シャワートイレは入れるけど、泡で自動洗浄できるような豪華仕様にはしない、そんなイメージです。本当にこだわる買い主というのは、中古ではなく新築物件を買うか、自分の手で改装するでしょうから。

壁紙はシンプルな白の壁紙にすると、購入者や賃貸希望者の印象に残らないので、オシャレな柄物にするのがいいでしょう。ただ、主張が強すぎると好みが分かれるので、入って正面の壁一面だけ、色つきの柄物にすると失敗が少ないでしょう。壁紙は「見本帳」に収録されている小さなサンプルで選びますが、サンプルで見るより、実際、壁に張った状態で見ると色調が薄く感じられるので、少し大胆に思える柄を選ぶといいでしょう。和室をモダンに見せるために、和室のふすまにいわゆる「ふすま紙」ではなく「壁紙」を張るのもおすすめです。部屋が広く見えます。

最後にひとつ注意を。「売るなら余裕のあるうちに」です。離婚、病気、転勤等、必要に迫られて売ると買い叩かれるのがオチ。まず退去、きれいに改装し、ホームステージングで演出。少なくとも1~2カ月かけて、じっくり売り出しましょう。

束田光陽
ファイナンシャルアカデミー「不動産投資スクール」講師
サラリーマンをしながら26歳で不動産投資を始め、通算27件、総額5億円の不動産を購入かつ売却。現在アパート3棟、区分マンション3室、51世帯の大家でもある。著書に『不動産投資 家賃収入&売却益 両取りのルール』など。
(構成=東 雄介 写真=iStock.com)
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