2009年7月8日から10日にかけてラクイラ・サミットが開催された。グローバリゼーションによって、サミットの拡大化の必要性は高まるが、筆者はその長短を説く。

家族会議でコンセンサスを得ることの難しさ

夏休みを前にして、旅行でどこへ出かけようかと家族と相談している読者もいるだろう。あるいは、出かける行き先を家族とすでに決めた読者もいるだろう。今年は、世界金融危機および世界同時不況の影響を受けて、夏休みの家族旅行も海外組が減り、国内組、しかも近場組が多くなっているといわれている。

実際に、今年の夏休み中に成田空港を利用する旅行客の人数は減少することが見込まれている。むしろ高速道路料金上限1000円の影響を受けて、国内旅行のために高速道路は混雑が予想される。

夏休みの旅行で出かける行き先や日程を家族で決めるとき、構成員それぞれの出かけたい行き先が異なるならば、その調整が必要となる。また、日程を決めるにも、構成員の都合のよい日程を調整しなければならない。

子供がまだ幼少のときは、いつどこへ出かけるかは、夫婦2人で決めればよいだろう。この夫婦2人で決めることも、両者の出かけたい行き先の希望が異なれば、その交渉は困難を極めるかもしれないが、夫婦2人であれば、どちらかが折れることで話はより簡単になる。

しかし、子供が成長して、高校生、大学生、そして成人となっていくにつれて、また成長した子供の人数が増えていくにつれて、家族旅行でどこへ出かけるかについて、一種の家族会議を開催しなければならなくなるだろう。これら家族の構成員が日常的に忙しければ、そもそも家族会議を開催することすらおぼつかなくなる。

たとえ家族会議を開催しても、子供たちと夫婦の関心事が異なるならば、家族の構成員それぞれの出かけたい行き先がばらばらとなり、夫婦2人で決めるときと比較して、家族会議においてコンセンサスを得ることの難しさは一層、増すことだろう。そうなると、夫婦は夫婦だけで旅行し、子供は子供だけで旅行したほうがより容易であることに気づき、全員が参加する家族旅行は取りやめようということになりかねない。

類似のことが、グローバル経済における諸問題を解決するために議論する「場」、すなわち、フォーラム(会議)においても起こっている。去る7月8日から10日にかけてイタリアのラクイラで開催された主要国首脳会議(サミット)は、従来の主要先進諸国首脳会議の流れを汲むG8首脳会議、そして、いくつかの新興国が集まって開催された新興国首脳会議、そして、両者を含む拡大首脳会合や主要経済国フォーラムといった、複数のフォーラムが並存する形で開催された。