「時間」という資産は、誰にとっても有限だ。ところが、その使い方は人によって驚くほど違う。いつも時間が足りない人と、仕事が終わる人の違いはどこにあるのか。「プレジデント」(2017年3月6日号)より識者の助言を紹介しよう。今回は「風邪に強くなる」について――。

風邪をひかないことを目指すというアプローチは、無理があると思います。人のいる場所に出かければ、風邪の原因となるウイルスはほぼ必ずいます。粘膜に付着したウイルスは20分で体内に入ってしまいますから、よく言われるうがいや手洗いも、それほどの予防効果はありません。

それより、「かかってもすぐに治す」ほうが実践的です。風邪をやっつける一番の方法は、体温を上げることと、上がった体温を下げないこと。体温を上げる1つの方法が、漢方です。

風邪のウイルスが体内に入ると、体温が上がって体が戦闘モードになりますが、そうした体の働きを漢方で応援してやるわけです。3日も4日も高熱が続く場合は別にして、かかりはじめはある程度の発熱を楽しむぐらいのほうが、早く治ります。

ひきはじめに飲む漢方としては、よく知られている葛根湯(かっこんとう)に加え、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、香蘇散(こうそさん)の計4種類があります。葛根湯は中肉中背の人向けで、よりがっしりしたタイプの方は麻黄湯、虚弱気味な体質の方は麻黄附子細辛湯や香蘇散と、体質に合わせて飲み分けます。